特集)学力下位層の拡大にどう向き合うか
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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初期指導と生徒面談を徹底し1年生で学習習慣を定着

 定期考査で結果の悪い生徒を減らすため、今後は、初期指導の徹底を図っていく方針だ。成績下位層の底上げ策として初期指導に力を入れた06年度入学生が、09年度の大学入試で国公立大に199人合格。そのうち東京大に4人、東北大には合格者が初めて30人を超えたことも、初期指導の徹底を決めた大きな要因だ。
 06年度の1学年は入学当初、スタディサポート、進研模試共に過去最低の成績だった。そこで、4〜6月は、生徒を「中学生から高校生にする」ことを最優先課題とした。生活指導では、服装や頭髪などの整容指導、遅刻指導を徹底。加えて、週末課題等は100パーセント提出するように厳しく指導した。教科によっては「一人勉強ノート」をつくり、一人ひとりの自学状況を確認するなど、自学自習の習慣付けを図った。
 生徒一人ひとりと徹底的にコミュニケーションを図ったのも、大きな特徴だ。1年次から面談を頻繁に行い、定期考査や校外模試の結果が悪い生徒は、担任による面談に加え、教科担当の面談も行った。教師が生徒把握を綿密に行うと共に、生徒には自分の弱点を自覚させ、克服法をアドバイスして、学習の仕方を改善させた。06年度入学生の学年で学年主任を3年間務めた小原真紀子先生は、次のように振り返る。
 「夏までは生活指導を徹底的に行いました。初めて手応えを感じたのは、夏休みの勉強合宿の時です。朝から晩まで自学自習に取り組みましたが、集中力が途切れずに学習する生徒を見て、これは行けるのではないかと思いました。予想通り、11月模試で例年通りの学力まで上がりました。導入期に生活習慣を徹底的に整えさせること、学習習慣を身に付けさせることが、その後の学力伸張に不可欠であると実感しました
 現状では成果の出た取り組みが他学年に波及していかないことが悩みでもあると、鈴木先生は指摘する。
 「本校は伝統的に学年色が濃く、進学実績も年度によってばらつきがあります。今後は、06年度入学生のように実績を上げた学年の取り組みを他学年でも行い、学校全体の共通理解にしたいと考えています。今は、週1回、進路指導部と各学年主任とで部会を開き、情報交換をしています。成功事例を共有し、次年度以降につなげたいと思います」

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