30代教師の情熱
VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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現在の私
学校のすべての活動を通じて挑戦する心を育みたい

 私の今の目標は、受験を肯定的にとらえ、つらい道でも挑戦する生徒を育てることです。最近、多くの生徒や保護者は、「楽な道」「安全な道」を選ぼうとします。しかし、受験に全力で挑むことが人間的な成長につながるのだと伝え、「受かる大学でよい」と考える生徒の意識を変えたいと思っています。
 挑戦する意欲につなげる工夫の一つとして、教科指導では教え込むのではなく、知識の使い方を伝えるようにしています。例えば、授業はインプット中心、補習はアウトプット中心と位置付けています。補習の初回では「ここで教えるのは、問題を正確に解くための『勉強の仕方』です」と話します。補習を通じて、授業への臨み方や教材の使い方、家庭学習の進め方などを見直させています。補習は生徒が主役の演習です。生徒を指名して答えさせ、解答の理由を聞きながら進めています。時折、問題の中に見える出題者の意図、仕掛けられた罠(わな)、必要な知識などを補足しながら解説しています。時間がかかることもありますが、アウトプットを普段から積み重ねる価値はあると思います。確実に解けたという感動が、次も頑張ろうという意欲に結び付くからです。
 生徒の意欲を引き出すことは、学級づくりでも重視しています。2009年度は、3年生の担任をしています。大学進学を目指す学級で、2年生から持ち上がりました。目的意識を持つ重要性を、ホームルームや学年集会で話したり、学校行事などで体験させたりしながら、生徒に実感させるようにしています。
 しかし、実際には仕掛けが機能せず、反省することも多いです。先日、外部の講演会で聞いて感動した話を学年集会で話したところ、生徒はぽかんとしているだけで、全く響いていない様子が見て取れました。自身で咀嚼(そしゃく)せずに話したために、生徒の心に響いていなかったのです。タイミングと、生徒の状況に合った内容を選ぶことが大切だとつくづく感じますが、なかなかうまくいきません
 学級対抗の体育祭では、クラス全員が参加しながらも勝てるように、生徒と一緒に作戦を練り、練習を積み重ねました。体力は他学級より明らかに劣っていましたが、戦略が当たり、学年で2位となりました。体育祭後の学活では、生徒をたたえ、「受験もこの体育祭と同じだ」と話しました。総合的な能力が劣っていても、得意分野を生かし、チームで力を合わせて計画通りに練習を積み重ねれば、目標は達成できる。この経験は生徒の自信となり、学習意欲へと結び付けることができました。生徒が意欲を持って受験に臨み、今後の進路を切り開いていけるよう、学校のすべての活動を利用したいと思っています。どのようなタイミングでどのような仕掛けをすることが有効なのかを模索しているところです。
 生徒と共に走りながら、目標に向かう意欲を高め、何事にも主体的に取り組める姿勢を育むことが、私の今の目標です。

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