特集)新課程を機に現行課程を振り返る
遠藤修

▲福島県立安積黎明高校

遠藤修

Endo Osamu
教職歴22年。同校に01〜03年度勤務、07年度再赴任。進路指導部長。数学科担当。信条は「生徒のために」

伊東光司

▲福島県立安積黎明高校

伊東光司

Ito koji
教職歴18年。同校に赴任して7年目。進路指導部。化学科担当。「教師は授業が命。授業の充実がモットー」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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45分授業と導入期指導で自学自習力の向上を図る

 同校が、現行課程と完全学校週5日制に対応するために工夫したこととして、時間割を50分×6コマから、45分×7コマにしたことが挙げられる。当初はコマ数の確保が目的だったが、生徒の学習習慣を定着させる上でも有効だったと、伊東先生は説明する。
 「低学年ほど、国数英のコマ数を多めに設定しています。コマ数が増えれば、生徒がその教科の予習や復習に取り組む機会も増えます。基礎学力の定着に課題のある本校にとって、学びを確実に習得させることに結び付けられるという効果もありました」
 また、生徒の自学自習力の向上を目的に、同校が05年度から開始したのが、3期に分けて行う導入期指導だ()。
 まず、第1期は入学前指導となる。福島県の高校入試はI期とII期に分割して実施する。I期入試合格者は2月に決まるため、高校入学までに2か月の期間がある。そこで、合格内定者に対して国数英の課題を課し、課題テストを行うことにした。入学日まで生徒の学習への意識を継続させようというのである。
 また、3月下旬には、卒業生を招いて進路講演会を開催。入学予定者を前に、高校生活へのアドバイスや大学生活について語ってもらう。高校生活、更にはその先にある進路に対する意識・意欲を喚起させるのが目的だ。
 第2期は入学直後に始まる。4月に「特別指導」の日を設け、シラバスの使い方や教科指導の方針を説明する。また、予習→授業→復習の流れに沿った学習に取り組ませながら、高校生として求められる学習方法を体験させる機会も設ける。
図:学習記録票
05年度から開始した「学習記録票」。当時は予定と実績を併記する形式だったが、改善の結果、現在は予定のみを記入し、実績は反省・感想欄に記入するようにしている
 入学時には「学習プログレス」という冊子を配る。この冊子を見ながら、生徒は「学習記録票」に1週間の計画を立てた上で、毎日の授業や部活、家庭学習、睡眠時間を記録する()。週末には1週間を振り返っての反省などを記入して、担任に提出する。これは、学習習慣の定着を図ると共に、自己管理能力を高めることを狙いとしたものだ。
 そして、第3期に当たる1年生2学期から2年生の夏休み明けにかけては、進路意識の醸成に力を注ぐ。「大学・講座研究レポート」を課し、社会人を招いての対話形式の進路講演会を開催するなどして、高校卒業後の自分を具体的に考えさせる。
 「導入期指導では、教師が少し手厚いぐらいに面倒を見ながら、生徒の学習習慣の定着を図っていきます。しかし、やがて教師から言われなくても、自ら学びに向かう生徒を育てていくことが目標です。例えば、『学習プログレス』の提出を課しているのは、1年生の間だけです。2年生以降は、自分で計画を立てて学習に取り組むようにさせています。1年生のうちに『計画を立てて実行する』という経験を積ませておけば、後はたとえ一時的に生活のリズムが崩れることがあっても、自分で立て直すことが出来るようになるものだからです。最初は教師が手厚く面倒を見ながらも、徐々に生徒の自立を促していくというのが、本校の導入期指導のスタイルです」(遠藤先生)

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