指導変革の軌跡 山形県立鶴岡南高校「生徒の主体性の育成」
山形県立鶴岡南高校

山形県立鶴岡南高校

◎「自主」「叡智」「剛健」を校是として、自主的・自律的に行動できる人間の育成を目指す。部活動も活発で、全生徒の9割が加入。2008年度は、アーチェリーが団体でインターハイ出場、男子バドミントンと女子ソフトテニスが高校総体ベスト4、陸上と水泳が東北大会出場を果たした。

設立●1877(明治10年)

形態●全日制・通信制/普通科・理数科/共学

生徒数●1学年約200人

09年度入試合格実績(現浪計)●国公立大は、北海道大、東北大、山形大、筑波大、東京大、新潟大、京都大、大阪大、山形県立保健医療大などに128人が合格。私立大は、岩手医科大、青山学院大、慶應義塾大、中央大、法政大、明治大、早稲田大、同志社大、立命館大などに延べ115人が合格。

住所●〒997-0037 山形県鶴岡市若葉町26-31

TEL●0235-22-0061

WEB PAGE●http://www.
tsuruokaminami-h.ed.jp/



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指導変革の軌跡133


山形県立鶴岡南高校「生徒の主体性の育成」

生徒が企画するLHRで
自ら挑戦する生徒を育てる

変革のステップ
背景(STEP1)
実践(STEP2)
成果(STEP3)
◎主体的に学びに向かえない生徒が増え、受験直前期に「最後の伸び」を発揮出来ない生徒が目立つようになる
◎生徒の自主企画によるLHRと朝学習を導入し、主体性を育むと同時に、数学を中心にトップ層の形成を図る
◎取り組みの先を見通して動ける生徒が増え、行事が活性化。クラスに一体感が生まれ、学習にも前向きに取り組むようになる

生徒の自主企画LHRで「人間の器」を大きくする

 山形県立鶴岡南高校は、2008年度の1学年(現2学年)から、生徒の主体性を重視したLHRに取り組み始めた。その背景には、受け身な生徒の気質に対する危機感があった。
 同校は例年100人以上の国公立大合格者を出す、県を代表する進学校の一つだ。しかし、近年の生徒には、教師が指示したことには素直に取り組むが、それ以上のことをしようとしないという傾向があった。生徒は家庭や塾などでの経験で「与えられること」が当然になっており、高校に入っても教師がお膳立てをして課題や補習を与え続けなければならない状況にあった。それが、生徒の受け身な姿勢を更に助長させるという負の連鎖に陥っていた。同校では、この悪い循環を断ち切り、主体的に学びに向かう意欲を育てることが急務とされた。2学年主任の難波理(おさむ)先生は、次のように説明する。

 「受験直前で成績が伸びる生徒は、自分で考えて学習に取り組める生徒です。生徒によって受験科目も苦手科目も異なりますから、学校から渡された課題だけ勉強していたのでは、伸びに限界があります。3年生までに自ら学習する姿勢を育むには、1年生の早い時期からの仕掛けが必要だと考えました」
 取り組みに当たり、教師が意識したのは「成功体験を積ませること」「見通しを持って取り組みに臨ませること」だ。
 まず始めたのは、生徒が企画・運営するLHRだ。大学研究などの進路行事の軸は守りながら、学級が自由に使っていたLHRを生徒の主体性を育む場とした。学級を6〜7人ずつの班に分け、企画から当日の運営までを一つの班が交代で取り仕切る。実施2週間前までに担任に目的、準備などをまとめた企画書を提出するが、基本的に内容は自由。これまでに、全体行事に向けての会議や鍋パーティーなどが行われた。
 「受験期のプレッシャーをはねのけながら、自ら学びに向かう力を身に付けるには、基礎学力だけでなく、さまざまな体験を通して成長すること、いわば『人間の器』を大きくすることが必要です。生徒自らが見通しを持って物事に取り組みながら成功体験を積み重ねることで、器を大きくしていくことが出来るのではないかと考えたのです」(難波先生)


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