指導変革の軌跡 山形県立鶴岡南高校「生徒の主体性の育成」

VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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生徒自身の手で朝学習のスケジュールと内容を立案

 2年生では、朝の時間帯にも生徒の自主企画を取り入れた。入学当初は朝読書をしていたが、教師が会議で常駐できないこともあり遅刻が増加、半年ほどで形骸化した。そこで、学級に2人いたもののそれまでほとんど働く場面のなかった朝学習係を「学年のブレーン」と位置付け、教師と朝学習係が話し合いながら朝学習の内容やスケジュールを決めることにした。

図1 朝学習スケジュール

月:自主学習

週末に予習が間に合わなかった生徒のために、朝学習係の要望により設定

火:プリント学習

生徒が選んだ課題によるプリント学習。内容は数学パズルや言葉遊びなど発想力を問うものが多い

水:自主学習

7時間目に行う小テストの予習のための時間。朝学習係の要望により設定

木:文を読んで要約

生徒が選んだ文章(新聞記事や書籍の一節などから抜粋)を読んで要約を書いたり、感想を述べたりする

金:読書

生徒の読解力や考える力を高めるために、木曜の課題と共に教師の要望により設定

 1週間のスケジュールは、月曜と水曜は自主学習、火曜は生徒が選んだ課題を解くプリント学習、木曜は課題文を読んでの要約、金曜が朝読書である(図1)。スケジュールと課題は学年共通だ。実施前には、朝学習係の代表が学年集会で企画趣旨と内容、朝学習に対する意気込みを発表し、一同の奮起を促した。
 月曜は週末に予習が追いつかなかった生徒のため、水曜はその日の7時間目にある小テストのための自習である。これらは生徒の意見を吸収して、朝学習係が要望を出し設定された。火曜は文理を問わず総合力が付く課題を生徒自身が選ぶ。生徒が興味を持って考えたくなるような課題が多い。木曜と金曜の内容は、考える力や読解力育成のための取り組みを入れたいという教師側の意向に基づいて設定された。
 朝学習係は、自分たちが考えた課題に学年のすべての生徒が取り組むとあって、大きな責任感と達成感を感じている。仲間が企画・運営を行っていることで、遅刻をする生徒は減り、生徒自身が選んだ課題ということで、興味を持って取り組む雰囲気が醸成されている。

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