指導変革の軌跡 愛知県・私立名城大学附属高校「導入期指導」
梁川津吉

▲名城大学附属高校

梁川津吉

Yanagawa Tsuyoshi
教職歴・赴任歴共に27年。進路指導部長。「大切なのは生徒を信じること、そして生徒に信じてもらうこと

荻野茂美

▲名城大学附属高校

荻野茂美

Ogino Shigemi
教職歴・赴任歴共に26年。特進2学年主任。「大学受験は結果がすべて。高校時代に結果がすべてであるものを体験できる意義は大きい」


VIEW21[高校版] 新しい進路指導のパートナー
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先輩からのビデオレターで生徒の心を学校へと向ける

 学年団が指導上重視したのは、「学校に顔を向けさせる」「その上で学習習慣を身に付けさせる」ことだった。
 「いくら熱心に指導しても、生徒の意識が学校に向いていなければ、生徒は前向きに頑張ろうという気持ちにはなれません。また、学習習慣が身に付いていない状態で、次から次へと課題を与えても、成果が上がらないどころか、あきらめてしまう生徒も出てくるでしょう。1年生ではまず生徒の居場所をつくり、学校に顔を向けさせた上で、生徒の変化を見ながら徐々に学習習慣を身に付けさせることが重要だと考えました」(山村先生)
 山村先生は、3年間を見通した指導計画を立てた。09年度1学年の特進クラス(3クラス)の担任は平均年齢32歳と若く、指導経験が浅いため、先の見通しを立てて指導に当たる必要があったからだ。1学年の計画のポイントは三つ。(1)先輩からのビデオレター、(2)補習量の絞り込み、(3)模試・スタディサポートの活用だ。
 まず取り組んだのは「先輩からのビデオレター」だ。教師に身構える生徒の心を解きほぐすため、10人の卒業生が後輩へのメッセージを話す姿を撮影し、入学直後のオリエンテーションで見せるというもの。時間は1人2〜3分で、内容は「なぜ名城大学附属高校を受けたのか」「入学までの経緯」「充実した学校生活を送る秘訣(ひけつ)」「後輩へのメッセージ」。事前に原稿は用意せず、要点をまとめたメモを見ながら、ビデオカメラの向こう側にいる後輩に語り掛ける。語り手には第1志望の公立高校に不合格だった卒業生、大学受験で志望を実現できなかった卒業生も選び、挫折体験を含めて赤裸々に語ってもらった。
 「どのようなことから未来が開けるのか分からない。前向きに高校生活を送っていれば、きっかけは必ずつかめるということを伝えたかったのです。志望校に合格できなかったとしても、そのための努力を惜しまず、納得して卒業していった先輩の言葉は必ず心に響きます。事後アンケートでは、ほとんどの生徒が『同じ気持ちの先輩がいたことが分かった』『頑張れそうな気持ちがしてきた』という前向きな感想を寄せてくれました」(山村先生)

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