指導変革の軌跡 愛知県・私立名城大学附属高校「導入期指導」
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成績が下がるタイミングを見計らい、意図的に「叱る」

 学習習慣の確立に向けた布石も打った。特に重視したのは、1年生の9月中旬という時期だ。夏休み後の気持ちの切り替えが難しい上に行事が続き、中だるみをしやすい。学習時間の少なさや計画性のない学習に気付かせ、自分の生活を振り返らせる必要があると考えたからだ。
 山村先生は第2回スタディサポートに着目。9月の文化祭後の実施のため、生徒はほとんど準備をせずに受ける。9月の成績は4月に比べて下がるだろうから、それを生徒に示し、奮起を促そうとした。予想通り、9月のスタディサポートでは、やや中だるみが感じられ、山村先生は生徒を叱咤激励。その後も、学習時間や成績の相関を数値で示し、自学の大切さを訴えた。
 この手法は他学年からも注目を集めた。3学年主任の原口敏幸先生は次のように話す。
 「09年度の1学年が従来の特進クラスと決定的に異なるのは、スタディサポートを軸とした学習計画を立てているところです。生徒の学習・生活状況の変化をあらかじめ読み取り、2学期以降の指導に生かすというのは、他学年でも活用できます。変化を織り込んだ指導計画を立てることで、若手の先生も安心して指導に当たれるのではないでしょうか」
 自学自習の重要性に気付いた生徒が行動に移れるよう、学年独自の「振り返りシート」を用意(図1)。目標点や成績の推移、次回のテストに向けた目標や意気込みを記入させて具体的な行動へ誘う。担任は必ずシートに目を通し、生徒が行動しやすいよう具体的に、やる気の出るようなアドバイスをする。叱るべき時は叱り、励ます時には元気を与える。緩急を付けた指導で生徒をその気にさせることも意識している。

図1 「振り返りシート」

図1:「振り返りシート」
模試ごとに自分の成績を振り返らせ、成績の推移を把握して、次の模試の目標を書く。保護者は子どもが書いたシートを読んで、コメントを寄せる。担任は具体的なアドバイスを書き込んだ上で、生徒に返す
*学校の資料を基に編集部で作成

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