ベネッセ教育総合研究所
WEB版VIEW21[高校版] 島根大学教育学部が目指す教育養成養育
島根大教育学部 副学部長
高岡信也
Takaoka Shinya
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VIEW21[高校版]2005年6月号
「大学改革の行方 教員養成改革の方向性」
COLUMN「教員養成系学部再編・統合の背景〜島根大・鳥取大の例」
追加レポート
島根大学教育学部 副学部長 高岡 信也 先生に今回特別に寄稿をいただいた。

島根大学教育学部が目指す教員養成教育
島根大学教育学部 副学部長
高岡 信也
 「在り方墾」が示した国立教員養成系大学・学部の再編・統合論は,島根,鳥取両大学の「県境を越えた協議」を経て,平成16年度に実現した。全国初,かつ(現時点では)唯一の成功事例であった。他の大学間協議は,地元地域の意向調整,大学間及び学内の思惑と綱引きなど,複雑な要因を抱え進捗の気配がない。「在り方墾は終わった」という声さえ聞こえてくるが,実際のところ,教員養成系の再編論議は「国立大学法人化」という大事業にかき消され「それどころではない」というところかもしれない。
  いずれにしろ,島根大学教育学部は,「新生教育学部」として自己再生を図らなければならない。このことは,単に「新課程」を捨てて「教員養成課程」のみの学部になる(戻る)ということを意味しない。高度で専門的資質を備えた義務教育教員を育成する新たな教員養成システムの構築が課題である。
  新たなシステムのキーワードは,言うまでもなく「高度な教育的実践力の育成」である。高度な専門職養成学部としてのミッションをこのように理解することから全てが始まる。「専門科学か教職か」という二者択一の議論は克服すべきであり,少なくとも現代の教職への社会的期待は,サプライサイド(供給側)の思惑を超えて高まっていると考えた方がよい。
  島根大学教育学部の教員養成教育は,生涯学習社会の専門職養成が目指すべき方向性を示している。すなわち,教師の生涯に渡る職能成長の過程を踏まえ,養成段階において身に付けるべき,基礎的でかつバランスのとれた資質の形成を目指す点に特徴がある。
(1) 学問体系の学修と教育的体験の往還を求め,高度専門職業人としての知的,実践的・技術的力量のバランスの取れた成長(専門職業人としての成熟)の基礎を培う。
▼参考資料1参考資料1
(2)子どもと教育に関する「直接的体験」を重視し,入学時から卒業まで一貫した教育体験活動を義務づけた。(「1000時間体験学習」の必修化)体験活動は,まず学生自身に教育専門職へ自覚と社会的成熟を促す。それらの基礎の上に,教育実習を通して実践的技能の習得が開始される。
▼参考資料2参考資料2
(3)教科専門担当教員を中心に,「教育内容学」(「教育内容構成研究」科目)の構築と教授を義務付けた。専門科学は,教師に必要な「科学的探求心」を開発する必須の領域であり,教育活動は「教える技術」のみで成立するわけではない。教えるべき内容への深い洞察と思考力は,現代教師にとって不可欠の資質である。
写真1
▲ 「通学合宿」事業にボランティア指導者として参加
写真2
▲ 小学校校庭に池を掘り「ビオトープ」を造る学生と子どもたち

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