「データで考える子どもの世界」
中学校選択に関する調査
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第5節 子どもの得意なこと


子どもの得意なことは、性別によって違いがみられる。受験する子どもたちの得意なことと、受験しない子の得意なことには共通点と相違点がある。

 Q.あなたは次のようなことが得意ですか、苦手ですか。

図4-5-1 得意なこと(全体・性別)
 子どもの得意なことは子どもごとに違うわけだが、性別によって、どのような違いがあるのか、また、受験する子どもと受験しない子どもとの間に、どのような傾向があるかを検討してみる。まず、図4-5-1で示した性別による違いからみていく。

  もちろん性別でほとんど変わらないこともある。「新しい友だちをつくること」や「友だちと話し合いをすること」などにおいては有意な差はない。また、統計的に有意といっても数ポイント程度の差のものも多く、個人差のほうが大きいといっていい項目も多い。

  しかし、大きな差のあるものに限ると、次のような違いがある。男子は、「運動をすること」「計算問題を解くこと」「自分の考えをみんなの前で発表すること」「難しい問題の解き方を考えること」を得意とする傾向がある。女子は、「絵を描いたり物を作ったりすること」「歌を歌ったり楽器を演奏したりすること」「身のまわりをきちんと整理すること」を得意としている。スポーツが得意で理数系に強く人前で活動するという男子に対して、音楽が得意で手先が器用で身のまわりを整理することが得意な女子という固定的なジェンダー意識が強固に作用している。それらは社会的につくられたジェンダーの結果と考えられるが、小学6年生の時点で得意・苦手という意識にこれほどに入り込んでいる現実はふまえておかねばならないだろう。学校選択の際にも、いわゆる校風や伝統のなかにこのジェンダー・バイアスがある学校や、減少しつつあるとはいえ男女別学の学校もあり、影響する要因といえよう。
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