「データで考える子どもの世界」
大学生の学習・生活実態調査報告書
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高校での「総合的な学習の時間」などへの取り組み

 高校のときの「総合的な学習の時間」やテーマ学習で、半数以上の大学生がインターネットや図書館を利用してあるテーマについて調べ、その結果について話し合い、文章にまとめるといった取り組みを体験している。しかし「調べたことを図や表にまとめた」「調べたことを人前で発表した」など、人前での発表を想定した取り組みは、「調べたことを文章にまとめた」よりもやや少ない結果となった。

Q
あなたは高校の「総合的な学習の時間」やさまざまなテーマ学習(環境や進路に関することなど)で、次のようなことをしましたか。それぞれについて、あてはまるもの1つをお選びください。
 高校での「総合的な学習の時間」が2003年度に導入(小・中学校は2002年度)され、はや6年目となった。今回の調査対象のうち、現役で入学した大学3年生が「総合的な学習の時間」の高校での導入一期生にあたる。学習指導要領では「総合的な学習の時間」のねらいとして、「(1)自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。(2)学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探究活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、自己の在り方生き方を考えることができるようにすること。(3)各教科・科目及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け、学習や生活において生かし、それらが総合的に働くようにすること」*1とされている。

 そこで高校のときの「総合的な学習の時間」やテーマ学習での取り組み状況を図1-1-7に示した。半数以上の大学生が高校で取り組んだこととして、「インターネットを利用した」(72.1%、「よくあった」+「時々あった」の%、以下同)、「調べたことを友だちと話し合った」(61.8%)、「学校や地域の図書館を利用した」(59.3%)、「調べたことを文章にまとめた」(55.7%)が挙げられる。つまりインターネットや図書館を利用してあるテーマについて調べ、その結果について話し合い、文章にまとめるといった取り組みを、高校のときに半数程度が体験していることになる。しかし「ほとんどなかった」という回答に注目すると「友だちと協力して発表資料をまとめた」(58.2%)、「調べたことを図や表にまとめた」(56.2%)、「調べたことを人前で発表した」(54.4%)など、人前での発表を想定した取り組みは、「調べたことを文章にまとめた」よりもやや少ないことが確認できる。
  • *1 文部科学省『高等学校学習指導要領』(1999年)、第1章第4款の2より引用。
図1−1−7 高校での「総合的な学習の時間」などへの取り組み(全体)
 そこで学年別に「ほとんどなかった」の比率を、表1-1-10に示した。先にも述べたが、現役で入学した大学3年生が「総合的な学習の時間」の導入一期生にあたるが、3年生以下と4年生でいくつかの項目で差がみられた。全体と比べ4年生で10ポイント以上高い項目として「インターネットを利用した」(「4年生」39.8%>「全体」27.9%、11.9ポイント差、以下同)、5ポイント以上高い項目として「調べたことを人前で発表した」(63.3%>54.4%、8.9ポイント差)、「調べたことを文章にまとめた」(50.9%>44.2%、6.7ポイント差)、「友だちと協力して発表資料をまとめた」(64.6%>58.2%、6.4ポイント差)が挙げられる。このことから、大学4年生では、高校のときに「調べたことを発表する」過程や機会が他の学年と比べ少なかったことが確認できる。
表1−1−10 高校での「総合的な学習の時間」などへの取り組み:「ほとんどなかった」(全体・学年別)
 さらに出身高校種別での取り組み状況を表1-1-11に示した。サンプル数の多い「公立・3年制」「私立・3年制」「私立・中高一貫」を中心にみると、「私立・3年制」でやや比率の低い項目がみられた。なお「公立・中高一貫」「国立・3年制」「国立・中高一貫」で全体と比べ比率が高い項目が目立つが、サンプル数が少ないために今回の調査結果のみで考察することは難しいものの、学校群による違いとして今後検証が必要な観点と考えられる。
表1−1−11 高校での「総合的な学習の時間」などへの取り組み(全体・出身高校種別)
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