第4回学習基本調査・中学生版
   PAGE 1/9 次ページ

 第1章 学習基本調査の結果からみえること

西島 央        


1. はじめに 〜中学生の学習をめぐって

 ここ数年、子どもたちの学力低下が懸念されたり、保護者の中高一貫教育に対する期待が焚きつけられたりと、小・中・高校生の学習をめぐって、おとなたちや社会の関心は非常に高くなっている。実際、なんらかの学力テストの結果やさまざまな学校の進学実績などの数字を目にしない日はないというくらい、小・中・高校生の学習の“結果”はさまざまなメディアで取り上げられている。

 しかし、そのような数字からは、当の小・中・高校生が日頃学習に向かう“姿勢や考え方”はほとんどみえてこない。彼らは、どのくらい勉強しているのだろうか。どんなふうに勉強しているのだろうか。日々の学習や将来についてどのような悩みや希望をもっているのだろうか。学校の学習指導のあり方をめぐる議論は百家争鳴だが、彼らの学校での勉強の様子はどうなのだろう。学校と地域・家庭との連携ということもいわれているが、彼らの家庭での勉強の様子や保護者のかかわり方はどうなっているのだろう。こういった小・中・高校生の学習に向かう姿勢や考え方の実態については、ほとんど知らされていないまま、子どもの学習に対する、おとなや社会の懸念や期待だけがどんどん膨らんでしまっているのである。

 2006年に行われた第4回学習基本調査では、中学生の学習に向かう姿勢や態度について、さまざまな角度から調査した。その結果、第3回までの調査結果と比較して、学習にかかわる中学生のイメージとして4つの特徴が浮かび上がってきた。

 第一に、まじめになった。第二に、学習するようになった。この2つの特徴からは、「ゆとりから脱ゆとりへ」という流れを読み取ることができよう。しかし、そのまじめさは受け身で、その学習は学校の勉強に閉じたものであった。与えられた課題を機械的にこなすのに追われるばかりで、自分から主体的に課題をみつけたり、プラスアルファの学習をしたりする姿はみえてこない。

 さらに、「日本の中学生は…」と一括りにして語ることのできない状況になってきた。つまり、第三に、地域や家庭間の格差が大きくなった。第四に、成績差が大きくなった。学習に向かう姿勢や考え方に、学習環境に恵まれた地域や家庭の中学生とそうではない中学生の間の、また、成績上位層の中学生と下位層の中学生の間の違いが、非常に大きくみられるようになり、中学生の分化が進んできたと考えられるのである。


 本報告書では、中学生の学習に向かう姿勢や考え方について、一つひとつの調査項目ごとにていねいに分析をしているが、本章では、それらの分析を結びつける横糸となるべく、上記の4つの特徴ごとに分析結果を概観していくことにしたい。

    PAGE 1/9 次ページ
目次へもどる  調査・研究データ