第4回学習基本調査・高校生版
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 “脱受験競争時代”に、だれがなお学び続けるのか。それを推測する上で有用なのが図1-4である。小学生の中学受験希望率は第1回以降漸増している。その中で、今回飛躍的に増加を示したのが、大都市の小学生である。中学受験の希望者は成績自己評価別の上位層に相対的に多い。だとすれば、即断はできないものの、上位層の学習時間の回復の背景には、局所化する受験競争があろう。高校生ではトップランク(偏差値55以上)の層が、また小・中学校では上位層の学習時間の回復が著しかった。中学受験を目指す小学生の漸増、とりわけ大都市における受験率の飛躍的上昇は、競争が局所化し、一部の青少年が強い受験プレッシャーの中で学習へと動機づけられている状況を物語っているように思う。“脱受験競争時代”は、すべての子どもたちが競争から解放された時代ではない。競争するものと競争しないものの分化が鋭さを増す時代でもある。この結果は、いわゆる教育格差の拡大や格差社会をめぐる議論と無関係ではない。


図1-4 中学受験の希望(小学生)


 調査結果には、このほかにも、高校生たちの授業の主観的な理解度が上がっていること、新聞のニュース欄を読む高校生が激減していること、パソコンやインターネットの利用者の増加が著しいことなど、注目すべき変化がいくつか表れている。詳細は、第2章を参照してほしい。

 本章では、“脱受験競争時代”をキーワードとして、第4回学習基本調査からみえてきたことを振り返ってきた。子どもたちの学習行動には、「階層再生産社会」日本の姿がしっかりと映し出されている。子どもたちの学習行動と意識に関する定点観測は、私たちの社会がどう変容しつつあるのかを監視する装置でもある。

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