第4回学習基本調査報告書・国内調査 小学生版
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2. 理数系離れは克服されたか  ─理数系回帰の傾向は見い出されるか

 理数系離れの問題は、科学技術立国を目指すわが国にとって、非常に切実な問題である。天然資源が少ない日本では、ヒューマン・ポテンシャリティー、ヒューマン・リソーシスに頼らざるを得ない。また、1985年のプラザ合意以降の円高誘導により、安い労働力を求めて工場の海外移転が起こり、製造業の空洞化を招いたことはよく知られている。このような状況のなかでは、日本は高度な科学技術によって、国内の産業を守らなければならない。これが科学技術立国論である。
 しかし、残念なことに、学校教育を巡る状況をみると、科学技術への期待が高まっているにもかかわらず、それに反して、いわゆる理数系離れが進んでいる。具体的には理数系の教科嫌い、理数系授業の理解度低下などが進行している。
 このため、文科省は「科学技術・理科大好きプラン」と称する理数系回帰を目指した一連のプログラムを実施している。
 その成果があったのか、あるいは「確かな学力」が理数系に有利に功を奏したのか、今回の調査結果は、理数系を好きな割合が高まっていること、および理数系の授業理解度が高まっていることの2つの点において、小学校では理数系離れに歯止めがかかったことを示している(詳細なデータは第2章参照)。

 (1) 理数系教科が好きな割合が第1位と第2位

 国算社理のそれぞれについて、小学生の好き嫌いをみると、第1回では、(1)「理科」71.4%(「とても好き」と「まあ好き」の合計、以下同)、(2)「国語」52.2%、(3)「算数」51.8%、(4)「社会」50.9%であったのが、第4回では、(1)「理科」68.5%、(2)「算数」62.8%、(3)「国語」53.4%、(4)「社会」48.0%となっており、4教科の好き嫌いの比較をみると、「算数」の躍進によって、「理科」と「算数」が「国語」と「社会」をひきはなしている。

 (2) 理数系の授業理解度が高まっている

 また、授業の理解度をみると、理解している割合が高いほうから順に、第1回では、(1)「理科」70.5%(「ほとんどわかっている」と「だいたいわかっている」の合計、以下同)、(2)「国語」62.9%、(3)「算数」62.4%、(4)「社会」54.5%であった。これに対して、第4回では、(1)「理科」77.0%、(2)「算数」73.9%、(3)「国語」70.8%、(4)「社会」64.3%という結果であった。このように順位でみても、理数系優位になりつつあるといえる。それだけでなく、第1回から第4回への変化をみると、4教科とも理解度が高まっているが、「算数」が11.5ポイントともっとも大きくなっており、「理科」も6ポイント以上増加している。理数系の理解度が向上しつつあるとみることができる。

 (3) 理数系回帰の背景に、学習からの感動と興味がある

「学習していて感じること」をたずねた結果では、理科に感動している(「生き物や自然を『すばらしい』とか『ふしぎだな』と感じる」)割合が80.6%と非常に高い。算数を学習していて感動する(「算数の考え方や解き方を『すばらしい』とか『ふしぎだな』と感じる」)割合も60.5%であった。さらに、時系列でみるとこの質問項目がはじめて取り入れられた10年前の第2回との比較では、理科と算数において、「感動」(すばらしい、ふしぎと感じる)・「興味」(好きという気持ち)ともに変化が大きい。理科の感動は8割強で高止まりし、理科への興味は7.4ポイントの大幅増。算数についても、感動が5.2ポイント、興味が4.3ポイント増加した。
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