第4回学習基本調査報告書・国内調査 小学生版
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2. 家での学習の様子

ベネッセ教育研究開発センター研究員 鈴木尚子・宮本幸子

(1) 学校外での学習時間

小学生の学習時間には個人差があるが、平均すると81.5分である。「ほとんどしない」と「およそ30分」を合計した比率は第1回28.5%→第2回32.3%→第3回40.3%であったが、第4回は33.1%と減少しており、小学生が学習に回帰している様子がみられた。大都市の中学受験予定者の増加、中学受験予定者がさらに勉強に向かったことが主な要因と考えられる。

Q 家での勉強時間などについてお聞きします。
 ●あなたはふだん(月曜日〜金曜日)、家に帰ってから1日にだいたい何時間くらい勉強していますか。
  学習塾や家庭教師について勉強する時間も含めてください。
 ●そのうち、学校の宿題や課題をする時間は何時間くらいですか。
 ●休日には、家で何時間くらい勉強しますか。
  学習塾や家庭教師について勉強する時間も含めてください。
 ●ふだん(月曜日〜金曜日)テレビを1日に何時間くらい見ますか。

 小学生は学校が終わった後に、どのくらい勉強しているのだろうか。図2-1-5に、平日の学習時間の変化を示した。今回の結果をみると、「およそ30分」「1時間」という回答がそれぞれ2割程度を占め、平均すると81.5分である。
 時系列による変化をみてみよう。第3回の調査までは、「30分以下」(「ほとんどしない」+「およそ30分」の%、以下同)が第1回28.5%→第2回32.3%→第3回40.3%と調査を重ねるごとに増え、学校外ではあまり勉強しない小学生が増加の傾向にあった。第3回調査の時期は、ちょうど教育における「ゆとり」確保を目指し授業時間数や学習内容が削減された時期(1998年)と重なる。
 今回の調査では、「30分以下」の比率は33.1%であり、小学生の学習時間は回復傾向にあるようだ。平日の平均学習時間の変化からみても、この回復の傾向は明らかだ(第1回87.2分→第2回77.9分→第3回71.5分→第4回81.5分)。
  さらに、休日の学習時間をみてみよう(図2-1-6)。休日の学習時間はもともと平日よりも少ないものの、こちらも第3回まで減少していたが増加に転じている。平均時間をみると、第2回57.2分→第3回48.2分→第4回67.3分となっており、第3回と比べ19.1分も増加している(第2回は土曜日と日曜日の学習時間を分けてたずねているため、土日の平均を算出した)。さらに休日は、「1時間30分以上」※1学習するという回答が第3回からの5年で急に増えているのが特徴的だ(第3回19.4%→第4回30.9%)。
■図2-1-5 平日の学習時間(時系列)
図2-1-5 平日の学習時間(時系列)
■図2-1-6 休日の学習時間(時系列)
図2-1-6 休日の学習時間(時系列)
 では、このように小学生の学習時間が伸びた要因は何だろうか。全体的に机の前に戻ってきているのだろうか。それとも、一部の小学生のみが猛烈に学習に向かっているのだろうか。
  地域差に着目して分析してみると(図2-1-7)、次のようなことがみえてくる。確かに大都市の平均学習時間は顕著に伸びているものの(第3回81.8分→第4回101.1分)、地方都市、郡部ではほぼ横ばいである。つまり、今回の調査結果で学習時間が増加したというのは、すべての地域における全体的な増加ではなく、主に大都市の傾向に引っ張られた結果、全体でみたときにも急に増加したようにみえたのだ。
  そこで大都市に注目しながら、さらにデータを詳しくみていくことにする。第3回から第4回の間で大きく変化したことは何だろうか。第一に中学受験率があげられる。中学受験率は、地方都市、郡部ではさほど変化がみられないものの、大都市では大幅に増加している。図表では示さないが、中学受験率を地域別にみると、郡部では、第2回11.7%→第3回9.1%→第4回11.3%、地方都市でも第2回15.8%→第3回19.6%→第4回17.3%と変化が少ない。一方、大都市では第2回28.7%→第3回25.1%→第4回37.7%と、第3回から第4回の間で13ポイント近く増加している。
  第二にあげられる変化は、中学受験予定者の学習時間である(表2-1-6)。大都市で中学受験を決めている小学生※2、まだ決めていない小学生※3、受験をしない小学生※4の平均学習時間を比べるとそれぞれ156.9分、74.4分、54.3分となり、中学受験を決めている小学生は、その他の小学生の約2〜3倍学習している。
  大都市の中学受験予定者の平均学習時間は、他の地域よりも長いうえ(大都市156.9分>地方都市92.7分>郡部75.3分)、第3回からの伸びももっとも大きい(大都市26.1分>地方都市4.0分>郡部-11.6分)。
  以上から、今回の調査結果において学習時間が伸びていた理由としては、学習時間が極端に長い大都市での中学受験率が大きく増加したこと(第3回から第4回の5年間で12.6ポイント増)、また、大都市の中学受験予定者がこれまで以上に学校外で勉強する時間を持つようになってきていること(同5年間で約30分増)が主因と考えられる。
  ただ、大都市の小学生であっても、中学受験予定者と未定者は勉強時間が長いものの、中学受験をしないと決めている小学生の勉強時間は、他の地域と比べて非常に短い点(54.3分)も特徴的だ。
■図2-1-7 平日の平均学習時間(地域別の時系列)
図2-1-7 平日の平均学習時間(地域別の時系列)
■表2-1-6 平日の平均学習時間(中学受験の予定有無別の地域別・時系列)
表2-1-6 平日の平均学習時間(中学受験の予定有無別の地域別・時系列)
 さらに、今回は平日に学校外で勉強する時間のうち、宿題にかける時間をたずねている。この結果についてみてみよう(図2-1-8)。宿題にかける時間で一番多いのは「30分」の35.9%で、およそ3人に1人がこのように回答している。その平均をみると36.4分である。平日の学習時間の平均と並べてみると、学習時間に占める宿題の時間は44.7%となる(表2-1-7)。小学生は平日の学習時間の半分弱を学校の宿題にあて、そのほかの時間を予習、復習、通信教育、塾の勉強などにあてているようだ。
 最後に、平日のテレビ視聴時間をみてみよう(図2-1-9)。平日のテレビ視聴時間は、これまで増加傾向にあったが、その増加傾向に歯止めがかかり、第3回と比べるとむしろ短くなっている。これは、これまでみてきたように、学習時間が増加していることと関係があるか、もしくは、小学生の余暇の過ごし方の時間配分がテレビ視聴からインターネットなどに多少変わってきていることが要因として考えられる。
■図2-1-8 平日に宿題をする時間(全体)
図2-1-8 平日に宿題をする時間(全体)
■表2-1-7 平日の学習時間に占める宿題をする時間の比率
表2-1-7 平日の学習時間に占める宿題をする時間の比率
■図2-1-9 平日のテレビ視聴時間(時系列)
図2-1-9 平日のテレビ視聴時間(時系列)

※1 「1時間30分以上」は「1時間30分」「2時間」「2時間30分」「3時間」「3時間30分」「それ以上」の合計
※2 中学受験を決めている小学生は「はい」と答えた小学生。
※3 決めていない小学生は「まだ決めていない」と答えた小学生。
※4 受験をしない小学生は「いいえ」と答えた小学生。

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