第4回学習基本調査報告書・国内調査 小学生版
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3. 学習上の悩み

青山学院大学教授 樋田大二郎

学習上の悩みはあまり深刻な状況ではない。今回調査対象となった小学生は、悩みよりも、意欲や喜びで形容されるのがふさわしいようだ。学習上の悩みに影響を与える要因をみると、上手な勉強の仕方がわかっている小学生はそうでない小学生と比べて学習上の悩みが少ない。また、宿題を提出しない小学生ほど学習上の悩みを感じている。

Q あなたは勉強について、次のように思うことがありますか。

 この調査では、学習上の悩みを7項目、学習上の意欲・喜びを4項目たずねている(表2-2-7)。
 学習上の悩みについては、もっとも比率が高かったのが「どうしても好きになれない科目がある」62.9 %である。第2位以下は、「覚えなければいけないことが多すぎる」35.4%、「わかりやすい授業にしてほしい」33.3%、「4年生までにもっと勉強しておけばよかった」31.1%、「上手な勉強の仕方がわからない」30.4%、「親の期待が大きすぎる」15.3%、「何のために勉強しているのかわからない」8.9%と続く。
 このようにみてみると、「どうしても好きになれない科目がある」の6割強を除くと、他の項目は3割台以下であり、小学生の学習上の悩みはそれほど深刻ではないということがいえよう。
 一方、悩みと比べて、意欲・喜びは高い値になっている。第1位は、「問題が解けたり、何かがわかるとうれしい」80.1%。第2位は「もっと成績をよくしたい」78.7 %、第3位は「新しいことを知るのが好きだ」60.0%、そして第4位が「勉強で友だちに負けたくない」56.8%であった。いずれも悩みの項目と比べて高めの値になっている。
 以上から、今回調査対象となった小学生は、悩みよりも、意欲や喜びで形容されるのがふさわしいようだ。
 表2-2-8から、悩みに関しての時系列比較を行おう。大きな特徴としては、悩みがあると答える比率がだんだん低くなる傾向にある。「どうしても好きになれない科目がある」が第1回と第4回で比較すると8.0ポイントの減少(第1回70.9%→第4回62.9%、以下同)、「覚えなければいけないことが多すぎる」が7.6ポイントの減少(43.0%→35.4%)、「わかりやすい授業にしてほしい」が10.3ポイントの減少(43.6%→33.3%)、「上手な勉強の仕方がわからない」が7.7ポイントの減少(38.1%→30.4%)であった。
■表2-2-7 学習上の悩み・意欲・喜び(全体)
表2-2-7 学習上の悩み・意欲・喜び(全体)
■表2-2-8 学習上の悩み・意欲・喜び(時系列)
表2-2-8 学習上の悩み・意欲・喜び(時系列)
 次に学習上の悩みの規定要因を考えてみよう。図2-2-7は、上手な勉強の仕方がわかっているか否かと学習上の悩みの多寡の関係を示している。一目みて明らかなように、「上手な勉強の仕方がわからない」と回答した小学生と比べてそうではないと答えた(つまり、「上手な勉強の仕方がわかる」)小学生は、「どうしても好きになれない科目がある」と答える比率が少ない(「わからない小学生」78.6%>「わかる小学生」56.1%、以下同)。同じように「覚えなければいけないことが多すぎる」(56.3%>26.3%)、「わかりやすい授業にしてほしい」(53.2%>24.7%)、「4年生までにもっと勉強しておけばよかった」(49.2%>23.2%)、「親の期待が大きすぎる」(22.3%>12.3%)、「何のために勉強しているのかわからない」(18.2%>4.8%)などとなっており、上手な勉強の仕方がわかっている小学生は、そうでない小学生と比べて学習上の悩みが少ない。態度・意欲・関心だけでなく、「確かな学力」が求めるような勉強をこなしていく技術、つまり、上手な勉強の仕方を教える重要性を示す結果である。
  図2-2-8は、宿題の提出状況別に学習上の悩みをみたものである。「出された宿題をきちんとやっていく」という項目に「あてはまらない」「まああてはまる」「あてはまる」と答えた順に(つまり宿題をやらない小学生ほど)学習上の悩みが深まっていくことがわかる。宿題指導の重要性が表れている結果である。
■図2-2-7 学習上の悩み・意欲・喜び(上手な勉強の仕方がわかる・わからない別)
図2-2-7 学習上の悩み・意欲・喜び(上手な勉強の仕方がわかる・わからない別)
■図2-2-8 学習上の悩み(宿題の提出状況別)
図2-2-8 学習上の悩み(宿題の提出状況別)
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