第4回学習基本調査報告書・国内調査 小学生版
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4. 進路・進学意識

東京大学教務補佐 諸田裕子

(1) 受験と希望する進学段階

中学受験を希望する小学生の比率は、今回の調査で23.5%を示しており、第1回(15.7%)から第3回(17.9%)までの微増傾向と大きく異なっている。受験を希望する中学校の種類については、半数以上の小学生が「私立中学校」を受験先として希望している。希望する進学段階は、「わからない」と回答する小学生の比率が、第3回よりさらに減少して18.8%となっており、小学生の進路意識の明確化がいっそう進んでいることがわかる。

Q ●あなたは、どこかの中学校(私立中学校や大学の附属中学校、中高一貫校など)を
   受験しようと思っていますか。
     【「はい」と答えた人にお聞きします】
     どのような中学校を受験しようと思っていますか。
  ●あなたは将来、どの学校まで進みたいですか。

 中学受験を希望する小学生の比率は、今回の調査で23.5%を示しており、第1回(15.7%)から第3回(17.9%)までの微増傾向と大きく異なっている(図2-2-9)。これは、第3回が行われた2001年以降に問題となった「学力低下」への社会的な関心を反映した進路選択の意識ととらえることができる。第4回についてみると、受験を希望する男子は22.1%、女子は25.0%となっており、性別による大きな違いはない。図は省略するが、これは第3回と同様の傾向である(男子18.2%、女子17.6%)。
 成績の自己評価と中学受験希望の関連をみてみよう(図2-2-10)。上位層の場合、37.4%が受験を希望し、下位層だと12.9%と低い。逆に、受験を希望しない小学生の比率は、上位層だと25.1%で、下位層だと31.9%となっている。受験希望の比率を地域別にみてみると(図2-2-10)、大都市37.7%に対して地方都市17.3%、郡部11.3%となっている。中学受験を希望するかどうかは、保護者の教育観、家計水準による影響とともに、そもそも、受験できる中学校がその地域にあるかどうかという地域間の格差を反映した結果といえるのではないだろうか。
 中学受験を希望する小学生に限定して、受験しようと思っている中学校の種類をたずねた結果が表2-2-9である。半数以上の小学生が「私立中学校」を受験先として希望し、「国立大学の附属中学校」「公立の中高一貫校」「まだ決めていない」がそれぞれ2割前後となっている。近年、その数を増やしつつある「公立の中高一貫校」を希望する小学生が約2割いることは注目に値する。成績の自己評価別では、上位層の場合、9割近くの小学生がすでに受験する中学校の種類を決めており、下位層の場合、「まだ決めていない」が31.9%となっている。
■図2-2-9 中学受験の希望(時系列・性別)
図2-2-9 中学受験の希望(時系列・性別)
■図2-2-10 中学受験の希望(成績の自己評価別・地域別)
図2-2-10 中学受験の希望(成績の自己評価別・地域別)
■表2-2-9 受験しようと思っている中学校の種類(全体・成績の自己評価別・地域別)
表2-2-9 受験しようと思っている中学校の種類(全体・成績の自己評価別・地域別)
 表2-2-10は、希望する進学段階をたずねた結果である。この表で注目すべき点は3つある。第一に、「わからない」と回答する小学生の比率が、第3回よりさらに減少して18.8%となった点である(第1回32.7%→第2回29.2%→第3回20.6%)。このことから小学生の進路意識の明確化がいっそう進んでいることがわかる。こうした傾向は、たとえば、「総合的な学習の時間」などを活用したキャリア教育、また、現在社会的な関心を集めている若者の就業問題(「フリーター」「ニート」など)への対策が、「職業意識の形成」に強く焦点化されていることと無関係ではないだろう。第二に、第1回から第3回まで進んできた高学歴志向の弱まりの行方である。「中学校まで」「高校まで」「専門学校・各種学校まで」の3つの数値を合わせると、第1回28.1%→第2回36.4%→第3回46.6%→第4回43.5%となっている。他方、「四年制大学まで」と「大学院まで」の合計をみてみると、第1回23.2%(ただし、第1回は「大学院まで」の選択肢はない)→第2回24.8%→第3回22.8%→第4回26.9%となっている。高学歴を志向しない小学生の比率は第1回から第3回の増加傾向から微減へと変化し、高学歴を志向する小学生の比率はほぼ横ばいながらも第3回から微増傾向にある。第三に、「専門学校・各種学校まで」を希望する比率が第1回から継続的に増加傾向を示している点である。先にあげた2点の特徴と考え合わせると、これまで「わからない」と回答していた小学生たちが「専門学校・各種学校まで」希望と回答している可能性が高いのではないだろうか。
  性別では、「高校まで」という回答(男子25.6%>女子17.6%)、「専門学校・各種学校まで」という回答(女子26.5%>男子12.7%)において大きく異なっている。
  成績の自己評価別では(表2-2-11)、下位層の小学生ほど「高校まで」と回答する比率が高く(下位層29.6%>中位層21.4%>上位層14.6%)、上位層の小学生ほど「四年制大学まで」と回答する比率が高くなっており(上位層23.8%>中位層15.0%>下位層11.1%)、「大学院まで」という回答でも、成績と希望する進学段階の強い相関が確認できる(上位層15.8%>中位層9.6%>下位層5.5%)。
■表2-2-10 希望する進学段階(時系列・性別)
表2-2-10 希望する進学段階(時系列・性別)
■表2-2-11 希望する進学段階(成績の自己評価別)
表2-2-11 希望する進学段階(成績の自己評価別)
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