第4回学習基本調査報告書・国内調査 小学生版
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5. 社会観・価値観

東京大学教務補佐 諸田裕子

小学生にとっての勉強の効用は、第一に実生活にとっての有用性にある。たとえば、「よいお父さん、お母さんになるために」「社会で役に立つ人になるために」「心にゆとりがある幸せな生活をするために」である。第二に期待している効用は「尊敬される人になる」「生活を楽しむ」という内面の充足となっており、これらの効用に比べて、「出世」や「お金持ちになる」といった職業的な成功、地位の達成、経済的な成功の手段としてはとらえられていない。
また、小学生にとって、幸せの要因は、「いい友だちがいると幸せになれる」93.2%である。「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」61.2%、「お金がたくさんあると幸せになれる」46.1%を大きく上回っている。

Q ●学校の勉強は、次のことにどのくらい役立つと思いますか。
  ●あなたは、次の意見をどう思いますか。

 ここでは、まず、学校の勉強の効用についてたずねている。「とても役に立つ」と「まあ役に立つ」を合計(以下同)して、数値の大きな順に整理すると表2-2-14のようになる。
 これらの回答率から、8項目は大きく3つに分類できる。第一に回答率が8割を超えている「よいお父さん、お母さんになるために」「社会で役に立つ人になるために」「心にゆとりがある幸せな生活をするために」「一流の会社に入るために」の4項目。ここから、勉強は実生活に有用であると考えていることがわかる。第二のカテゴリは回答率が7割台の「趣味やスポーツなどで楽しく生活するために」「尊敬される人になるために」の2項目。ここからは、内面的な充足を勉強がもたらすと考えていることがうかがえる。これに対して、「会社や役所に入ってえらくなる(出世する)ために」69.7%、「お金持ちになるために」47.8%という2項目の結果からは、実生活の有用性や内面の充足と比較して、勉強が将来の地位達成や経済的成功には役に立つとはとらえられていないことがわかる。
 性別では(図2-2-11(1))、「お金持ちになるために」と「趣味やスポーツなどで楽しく生活するために」の2項目を除き、ほとんどの項目で女子>男子となっており、女子のほうが学校の勉強に意味を見い出しているといえる。
 地域別にみてみると(図2-2-11(2))、いずれの項目でも、郡部>大都市となっており、郡部のほうが勉強を有用ととらえる傾向が強いことがわかる。
■表2-2-14 勉強の効用(全体)
表2-2-14 勉強の効用(全体)
■図2-2-11(1) 勉強の効用(全体・性別)
図2-2-11(1) 勉強の効用(全体・性別)
■図2-2-11(2) 勉強の効用(地域別)
図2-2-11(2) 勉強の効用(地域別)
 次の図2-2-12(1)は、社会観・価値観についてたずねた8項目についての結果である。
  小学生にとって、幸せの要因は、「いい友だちがいると幸せになれる」93.2%(「とてもそう思う」+「まあそう思う」の%、以下同)である。「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」61.2%、「お金がたくさんあると幸せになれる」46.1%を大きく上回っている。
  成績の自己評価別にみると(図2-2-12(2))、「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」「日本は、努力すればむくわれる社会だ」「日本は、競争がはげしい社会だ」「将来、一流の会社に入ったり、一流の仕事につきたい」という4項目で、上位層と下位層の間で10ポイント以上の差となっている。学歴の効用、努力の意味を見い出すこと、そして、競争社会を勝ち抜いて地位を達成したいという意識を持つことと成績は、小学校段階から密接な関連を持っている。
  また、図2-2-12(1)をみると、ジェンダー規範にかかわる2項目「女子はそれほど勉強をがんばらなくてもいい」「算数は男子のほうが向いている」については、「とてもそう思う」と「まあそう思う」を合計しても、それぞれ14.2%、29.4%となっており、全体としてはそれほど、小学生が伝統的なジェンダー規範にとらわれていないことがわかる。しかし、性別にみてみると、2項目とも男子>女子となっており、男子のほうが女子よりも「そう思う」比率が高くなっている。
■図2-2-12(1) 社会観・価値観(全体・性別)
図2-2-12(1) 社会観・価値観(全体・性別)
■図2-2-12(2) 社会観・価値観(成績の自己評価別)
図2-2-12(2) 社会観・価値観(成績の自己評価別)
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