第4回学習基本調査報告書・国内調査 小学生版
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6. 心や身体の疲れ

青山学院大学教授 樋田大二郎

身体的な疲労感が上位を占め、これに精神的疲労感が続いている。「進学塾」に通っている小学生の疲労感は、塾通いをしていない小学生の疲労感と比べて大きな違いはない。これに対して、授業がわからないことが疲労感に大きく影響を与えていることがわかる。

Q あなたはふだん、自分のからだについて、次のように感じることがありますか。

 図2-2-13で、疲労感に関する質問に「とてもそう」と「少しそう」と答えた比率の合計(以下同)をみると、もっとも高い値は、「あくびがでる」81.3%、また、「目が疲れやすい」61.7%など身体的な疲労感が上位を占めている。そして、「あきっぽい」59.0%、「いらいらする」58.7%という精神的疲労感が続いている。
 次に、表2-2-15で、通塾と小学生の疲労の関係をみてみよう。一般に、塾通い、とりわけ、週に4日以上になることもあり、1回あたりの学習時間も3時間以上の長時間におよぶ「進学塾」への塾通いが、児童の心身の健康に悪影響を与えているということがいわれている。しかし、今回の調査結果では、一般の思いこみとは異なり、「進学塾」に通っている小学生の疲労感は、「非通塾」の小学生の疲労感と比べ目立って大きな違いはなかった。「あくびがでる」比率はほぼ同じであり、「あきっぽい」に関しては、むしろ、「非通塾」の小学生のほうが多いくらいである(「進学塾」56.3%<「非通塾」58.0%)。
 しかし学習塾、とくに「進学塾」での勉強が心身に負担を与えていないとは考えにくい。今回の結果は、塾に通っていない小学生の生活が予想外に不健康である可能性を示していると考えるほうが妥当ではないだろうか。本調査は、学習基本調査であり、生活全般についてはたずねていないが、今後、児童の健康に関する生活実態についての研究を進める必要がある。
 最後に、表2-2-16をみると、授業の理解度が疲労感に大きく影響を与えていることがわかる。「わかりやすい授業にしてほしい」と答えた小学生はそうでない小学生よりも、疲労感を訴える比率が高い。とくに、精神的疲労感である「いらいらする」(選択69.8%>非選択53.1%、以下同)と「あきっぽい」(71.5%>52.7%)では、それぞれ16.7ポイント、18.8ポイントもの大きな差となっている。心身の健康の面からも、わかりやすい授業を行うことが求められる。
■図2-2-13 心や身体の疲れ(時系列)
図2-2-13 心や身体の疲れ(時系列)
■表2-2-15 心や身体の疲れ(通塾の有無と学習塾のタイプ別)
表2-2-15 心や身体の疲れ(通塾の有無と学習塾のタイプ別)
■表2-2-16 心や身体の疲れ(「わかりやすい授業にしてほしい」回答別)
表2-2-16 心や身体の疲れ(「わかりやすい授業にしてほしい」回答別)
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