学習基本調査・国際6都市調査報告書
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4.ロンドンの調査結果の特徴に関する分析


小松郁夫(国立教育政策研究所 教育政策・評価研究部部長)
舘林保江(国立教育政策研究所 教育政策・評価研究部研究協力者)

 (1)ウェブ上での調査決定の背景と課題

 今回「国際6都市調査」を実施するにあたり、ロンドンでは紙ベースではなく、ウェブ上でのアンケート調査を試みることにした。先進諸国において教育の情報化が国策になるなか、イギリスが学校教育の中でのICT(Infor-mation and Communication Technology)環境の設備とその実践において先駆的に取り組んでいる国の1つだからである。ウェブ上での調査をすることにより、社会的流動性の高い都市であるロンドンが持つ特徴の、海外から移住してきた英語を母語としない子どもたちのことを考慮した。2006年10月には、参加予定校の協力を得て、事前調査を実施した。その事前調査では、ウェブ調査による機能的課題を含め、ICTのネットワーク環境の安全設定であるファイヤーウォールへの対応、事前に想定されなかったような課題も確認することができた。
  ロンドンの子どもたちにとって、このようなアンケート調査に参加することは、大学や研究機関からの依頼も日常的にあるので、決して珍しいことではないが、今回のようなウェブ上での回答はきわめて新しい経験であったようである。個人情報保護の観点より、参加予定校には、調査やデータ使用の目的などを事前に説明し同意を得た。
  調査地域には、現地協力者が得られ、そして全国統一試験で平均的値を出している複数の地区を選んだ。調査校の選定は現地協力者に依頼した。地域間・学校間で社会経済的様相が大きく異なるロンドンにおいては、調査地域の選定によってデータの内容に差が出ることが予想されたからである。

 (2)質問紙作成、検討の経緯

 質問項目を作成する際には、ロンドンの特徴を考慮し、使用する表現・用語の検討が何度も繰り返された。この検討には、ロンドンに住む現職のイギリス人教員や元校長たち、イギリスに長期在住する学齢期の子どもを持つ日本人、初等学校に通学するイギリス人・日本人の子どもたち、日本に滞在するイギリス人英語教員などの協力を得た。重点的に検討されたカテゴリーには大きく分けて3つあった。1つめは、学校教育に関することであり、とくに、学習教科、学習環境、教授法そして学校の成績・結果に対する考え方などである。2つめは、イギリス社会の特徴に関するものであり、3つめが、家庭環境に関するものである。
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