学習基本調査・国際6都市調査報告書
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3.家庭での学習時間に関して
  3点目の特徴は、家庭での学習時間を問う「家での勉強時間などについてお聞きします」という質問に関する回答である。第1章2節の図1- 2-1「平日の学習時間」、図1-2-2「宿題をする時間」をみると、ロンドンの学校外の学習時間は多い順に「およそ30分」(28.3%)、「1時間」(28.1%)、宿題の時間は「30分」(26.3%)、「45分」(21.4%)となっている。イギリスでは宿題に関するガイドライン(school homework policy)があり、宿題が学校と家庭の連携のもとで行われることを強調している。第5・6学年では、読み書き・計算に関して毎日30分間の宿題が目安とされている。
  ロンドンではノートや教科書は学校に置いたままであり、宿題はプリントによる配布が多いので、家庭学習への取り組みは家庭による差が大きい。学校文化や社会的風潮としても予習や復習の習慣がほとんどないことから、ここでのデータはかなり実態に近いものといえよう。しかし、「予習をしてから授業を受ける」の質問に対しては61.7%、「授業で習ったことは、その日のうちに復習する」にも72.3%が「あてはまる」「まああてはまる」と回答している。現地調査においては、子どもの中には宿題をすることを予習や復習をしていると理解している子がいるのではないかという意見が聞かれた。

4.携帯電話・パソコンの所有率の高さ
  4点目は、家庭でのパソコンや携帯電話の所有率に関してである。ロンドンの子どもたちは、55.0%が「自分専用のパソコンを持っている」、54.9%が「自分専用の携帯電話を持っている」と回答し、6都市中、パソコンに関してはもっとも高く、携帯電話に関してはヘルシンキの93.0%に次いで第2位である。この数値は、パソコンではもっとも低い東京の12.8%、携帯電話では北京の18.8%と比較すると非常に高い。
  現地調査では、子どもたちはたとえ家族で共有するパソコンでも自分専用と回答する傾向があるのではないか、との意見が聞かれた。半数以上が“自分専用の”パソコンや携帯電話を所有するという今回のデータをそのまま鵜呑みにするのには、注意が必要であろうが、家庭でのパソコン使用率も非常に高いこととあわせると、子どもたちの生活の中にパソコンや携帯電話がかなり普及していることがわかる。「家でパソコンを使う」に66.1%が「よくある」、23.8%が「時々ある」、「家でインターネットを使って何か調べる」にも50.7%が「よくある」、32.6%が「時々ある」と回答している。
  社会的特徴でもあるが、イギリスの子どもたちは安全面の理由によりおとなの付き添いがなければ外出ができないことや、また気候条件もあり、家の中で過ごす時間が長いことがその要因として考えられる。外出時の安全のために携帯電話を持たせる家庭も増えている。
 以上、調査実施までの経緯と、ロンドンのデータの特徴をまとめた。東京および他の4都市と比較すると、ロンドンの子どもたちの学習スタイルや成績評価の特徴が明らかになった。とくに、勉強に対する期待感が非常に高かった。現地調査から、授業のはじめに学習内容と達成目標を明確に説明する、教員たちの指導の工夫などとあわせて、ロンドンの小学校で勉強の意味づけを重視している様子がわかった。
  また、ロンドンの小学校のおけるICTのスキル・関心の高さも明らかになった。今回、このようなウェブ上でのアンケートに参加する試みは、学校側にとってはきわめて新しい、初めてに近い試みであった。当初参加を表明していたが、ウェブ上での回答であるとわかると、参加を断る学校が数校あった。しかし、調査に参加した19校のうち、事情により1校のみがウェブ上での回答ができなかったが、他の学校ではとくに問題もなく回答してもらうことができた。そして、データからは家庭でもパソコンが子どもたちの生活に浸透している様子もうかがえた。
  このように有益な分析結果が得られたが、ロンドンの小学校にみられる多様性を忘れてはならない。今回は都市間比較ということでデータは全体値のみを使用したが、ロンドンは多様な文化的、民族的、宗教的背景をもった都市である。属性別の分析、あるいは中等学校を対象とした調査などを実施すれば、また違った知見が見い出せることも考えられる。

 (4)まとめ

 以上、調査実施までの経緯と、ロンドンのデータの特徴をまとめた。東京および他の4都市と比較すると、ロンドンの子どもたちの学習スタイルや成績評価の特徴が明らかになった。とくに、勉強に対する期待感が非常に高かった。現地調査から、授業のはじめに学習内容と達成目標を明確に説明する、教員たちの指導の工夫などとあわせて、ロンドンの小学校で勉強の意味づけを重視している様子がわかった。
 また、ロンドンの小学校のおけるICTのスキル・関心の高さも明らかになった。今回、このようなウェブ上でのアンケートに参加する試みは、学校側にとってはきわめて新しい、初めてに近い試みであった。当初参加を表明していたが、ウェブ上での回答であるとわかると、参加を断る学校が数校あった。しかし、調査に参加した19校のうち、事情により1校のみがウェブ上での回答ができなかったが、他の学校ではとくに問題もなく回答してもらうことができた。そして、データからは家庭でもパソコンが子どもたちの生活に浸透している様子もうかがえた。
 このように有益な分析結果が得られたが、ロンドンの小学校にみられる多様性を忘れてはならない。今回は都市間比較ということでデータは全体値のみを使用したが、ロンドンは多様な文化的、民族的、宗教的背景をもった都市である。属性別の分析、あるいは中等学校を対象とした調査などを実施すれば、また違った知見が見い出せることも考えられる。

※本節の内容や用語については、植田みどり先生(国立教育政策研究所 教育政策・評価研究部)、天野圭子先生(ロンドン在住・日本語教師)にもご教示いただいた。
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