ベネッセ教育総合研究所 高校生の学力変化と学習行動  
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第3章 各教科における学力の壁を乗り越えるための学習と指導

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第4節  偏差値50の壁を乗り越えるための学習と指導・古典


(1) 層間差に見られる特徴

 古文では学力A層・B層で見られた特徴と同じく、問1の(ア)や問4でC層とD層の正解率の差が前回よりも広がった。その他でC層・D層の間での正解率の差が前回よりも大きくなったのは、次の設問である。



データ13

 指示内容は原則的に指示語の前にあるということを知っており、「夫〜疲れ乞いをぞしたりける」「侍・中間(ちゅうげん)〜責めたりける」という主語・述語のおおまかな把握ができれば容易な問題である。現代文と同じく読解の基本に習熟しているかどうかが分かれ目となる。

 漢文では学力C層、 D層ともかなり正解率が低く、両者の正解率には大きな差が見られなかった。その中にあって問3だけが例外である。(図9)
 

 
データ14

 この設問を解くには、句法の正確な理解と同時に、直訳を意訳できる能力が必要となる。「Aに非ずんば、則ちBなり」(Aでなければ、そのときにはBである)→(AかBのどちらしかない)。日頃生徒やその答案に接してみて、このような表現を言い換える能力は、確かに低下しているように思える。

(2)学力層別・学習習慣に見られる特徴

 第2節の古典の分析に記述したものと同様の視点であるが、「国語が得意」と答えた生徒は学力C層が34.5%であるのに対して、Dは22.7%と5人に一人となり(「非常に得意」「やや得意」の選択率合計)、国語嫌いは深刻である(図5)。中でも古典嫌いはかなりの割合に上るものと予想される。


(3)学習指導の工夫

 古典に対する学習意欲の減退をいかに食い止め、古典への興味関心を高めるかがポイントとなる。最近特に音読指導の大切さが叫ばれるようになったが、この層の生徒たちにこそ必要な指導であろう。古文・漢文の独特な言い回しに慣れるため、名文を暗記させることは、古典世界への呼び水になると考える。漫画の中にも古典を題材として有益なものも多く、視聴覚教材も充実しつつある。活字表現にこだわらず、様々なメディアを用いた授業や読書案内も可能である。また、予習プリントに工夫を加え、課題の難易度を明示して、最低限調べておくべき事項については確実に取り組ませるなどの方法も考えられる。古典への抵抗感がなくなり、基礎的・基本的事項の定着が図られれば、偏差値50の壁は乗り越えることが十分できるものと考える。




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