授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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第1章 子どもの家庭学習力を育てる教育の創造

5.学校(校長)の家庭学習充実力の構想

そして最後に、三つ目の大人の総合教育力としての「学校の経営力」に対応させて、間接的にではあるが子どもの家庭学習力の向上に影響を及ぼす「学校(校長)の家庭学習充実力」を構想することにした。

すでに私たち総合学力研究会が実施したこれまでの全国規模の学力調査では、「学校(校長)の経営力(MOREモデル)」という教育力を構想して、子どもの総合学力を向上させる校長のリーダーシップのあり方について調査結果を基にして具体的に提案してきた。(7)

そこで今回は、子どもの家庭学習力の向上に寄与する校長のリーダーシップとして、「学校の家庭学習充実力」を構想して具体的な調査項目を作成して、それを元に校長調査を実施することにした。

この「学校の家庭学習充実力」を構成する領域としては、すでに定義している「学校の経営力」におけるMOREモデルを参照して、それに対応する形で4つの領域、(1)基本方針の設定と共通理解促進(M領域)、(2)組織・体制の強化と充実(O領域)、(3)教育資源の充実と有効活用(R領域)、(4)教育課程の整備と充実(E領域)を設定した。この4領域は、名称としては従来のものを踏襲しているが、後章で紹介するようにアンケートの調査項目については、子どもの家庭学習力の向上と、教師の家庭学習指導力及び保護者の家庭学習支援力の向上に資する校長のリーダーシップを問う内容に変更している。

今回の調査では、このような特徴を持つ「学校の家庭学習充実力」が、子どもの総合学力や家庭学習力、そして教師の家庭学習指導力と保護者の家庭学習支援力とどのように関係しているのかを探ることをねらいとした。

6.おわりに

以上、子どもの家庭学習力とそれを育てる大人の総合教育力として、教師の家庭学習指導力、保護者の家庭学習支援力、そして学校の家庭学習充実力という4つの力を定義してきた。

さらに、今回の全国規模の学力調査では、教師の授業連動力や、子どもの家庭学習の実態、教師や保護者の家庭学習の成果認識等についての質問項目も問うようになっている。なお、次章以降では、ここで構想した領域名を全体のバランスを考えて若干変更したり、調査後に因子分析した結果に基づいて領域を再構成したりしていることを予めお断りしておきたい。

このように子どもの家庭学習とそれを充実させる教育のあるべき姿を、構造的な理論モデルとそれに基づいて作成した質問紙調査と学力テストを用いて、多面的かつ実証的に明らかにする研究は、世界的に見ても希なものであろう。したがって、本報告書の各章で明らかにされた調査結果は、これからの日本の学校と家庭の連携による教育のあり方に一石を投じるだけでなく、総合的で計画的な改革を提起することになるだろう。

本研究が、多くの学校や教育行政、そして教育研究機関に活用されて、子どもの家庭学習力が着実に向上し、その結果、子どもの総合学力がますます向上していくことを、研究会一同心より願っている。

 

(7)詳細なMOREモデルの特徴とその項目は、田中博之・木原俊行・大野裕己監修『総合教育力の向上が子どもの学力を伸ばす』ベネッセ教育総研、2005年を参照のこと。

[参考文献]
  1. 田中博之著『フィンランド・メソッドの学力革命』明治図書、2008年。
  2. 田中博之著『子どもの総合学力を育てる』ミネルヴァ書房、2009年。
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