授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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第3章 「教師の指導力」「家庭の教育力」「学校の経営力」と子どもの総合学力との関係
       −基本仮説の検証

3-4 家庭学習充実に向けた総合的な取り組みについて


ベネッセ教育研究開発センター主任研究員 田中勇作

はじめに

ここまで本章では、「教師の家庭学習指導力」「保護者の家庭学習支援力」および「校長の家庭学習充実の経営力」が子どもの教科学力や家庭学習力にどのような影響を及ぼすかについて探ってきた。教師の指導力や保護者の働きかけの違いによって子どもの教科学力や家庭学習力に明らかな差異が見られたことは、先行する「基本調査2004」や「基本調査2006」の結果とも合致し、それぞれの取り組みや働きかけの重要性が改めて確認できた。

ただ、本章第3節で述べたように、今回の調査結果からは校長の取り組みと教師の指導力や保護者の支援力との間には必ずしも明確な正の相関関係が認められず、教科学力が芳しくない学校においてその取り組みが積極的に行われているケースも複数確認された。

今後さらなる分析・検証が必要となるが、今回の校長に関わるこうした調査結果は、「教育的な課題を抱える学校においては、リーダーシップや経営力の高い校長が配置され、教師の指導力の向上や家庭の教育力向上に向けての積極的な取り組みが始まっているが、その成果がまだ形として現れていない」という過渡的な状況下の一面を示したものとも推察される。

本節では、そうしたことも踏まえつつ、教師、保護者、校長の取り組み(総合教育力)の発揮パターンによって、子どもの教科学力や家庭学習力にどのような違いが現れるかを調べ、「『教師の家庭学習指導力』『保護者の家庭学習支援力』および『家庭学習充実に関する学校の経営力』の三者が高いときに、子どもの家庭学習力ならびに教科学力は高くなる」という作業仮説6について探っていく。

1.家庭学習充実に関する総合教育力の発揮状況と子どもの教科学力および家庭学習力の関係

図表3-4-1には、小学校における教師の家庭学習指導力、保護者の家庭学習支援力および校長の家庭学習充実の経営力の発揮状況のパターンと子どもの教科学力および家庭学習力との関係を示した。この図表では、本章第1〜3節で見てきた教師の家庭学習指導力、保護者の家庭学習支援力、校長の家庭学習充実の経営力の各々の総合スコアについて、平均以上を「○」、平均未満を「×」として、今回の調査対象である小5生をA〜Hの8パターンに分類し、各パターンに属する子どもの教科学力と家庭学習力の平均偏差値をグラフ化している。また、パターンの順序は教科学力の降順に並べ替えている。

なお、教師・保護者・校長の各スコアについて学校単位で平均スコアを算出し、パターン化を行うと、調査対象校数の制約からパターンによっては該当件数が1件以下になるケースが複数現れるなど、データのゆらぎが増幅され、その信頼性に疑問が残る。そのため、子ども各人に対して、その保護者の家庭学習支援力、前年度担当した教師の家庭学習指導力、および所属する学校の校長の家庭学習経営力の○・×判定を振り付けており、これまでの3群比較のように学校単位での分類ではないことをお断りしておく。

なお、前述してきたようにここでも教師・校長における取り組みの総合スコアのカテゴリの再編に伴う集計単位の変更等により、「基本調査2008」中間報告書に示した同種の図表とは数値が異なっていることを改めて述べておく。

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