授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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第5章 家庭学習力向上への学校・教師の取り組み−家庭学習力向上へのトータルデザイン /
5-1 家庭学習の指導と授業改善をどう結びつけるか

3.家庭学習を生かした授業改善のさらなる点検−家庭学習指導の評価基準−

先に、教師たちが、自らの授業における指導や家庭学習に関する指導を点検するためには、プランや指標を参照することが大切であると述べた。ここでは、後者の指標について、さらに解説しておきたい。

筆者は、教師たちの指導力について、これまで、いくつかの指標を用意してきた。例えば、読解力の育成に資する教師たちの営みを「日常的な学習指導」「教育環境の整備・充実」「学校基盤のマネジメント」の3つの領域からなる31項目に整理し、各項目に関して「努力を要する状況」「おおむね満足できる状況」「十分満足できる状況」の3つのレベルを準備した。(6)それによって、教師たちが、読解力育成の取り組みをいっそうていねいに評価できるからだ。「読書活動」に関する指導についてであれば、「各教科等の『必読書』や『参考図書』などを子どもに示している」状況と「各教科等の『必読書』や『参考図書』などを活用せざるを得ない授業を実施したり、家庭学習課題を設定したりしている」状況では、読書活動に関する指導の成熟に大きな違いがある。後者は、前者に比べて、子どもたちの取り組みが活性化するに違いあるまい。

以下、「家庭学習指導力」と「授業連動力」の項目のうち、小学校の教師たちの間で比較的実施率が高かったものに関して、そのような基準試案を示しておこう。例えば、家庭学習指導力の「D.学習習慣」であれば、「音読やドリルを課すことに終始している」場合、それだけでは、家庭学習に対する子どもたちの意欲を維持することが難しいので、「1.努力を要する状況」にあると言わざるを得ない。

「毎日かならず今日の授業の振り返りや次の授業への準備をすること等を習慣づけるように指導している」のであれば、それは、子どもたちに家庭学習の意義や必要性を納得させることに資するので、「2.おおむね満足できる状況」に達していると判断されよう。そして、それらに加えて、「教科学習の育成に資する、楽しい学習課題や活動を導入して、学ぶ習慣を自然に体得させている」のであれば、それは、習熟の程度が低い子どもたちの取り組みをも促す可能性を有しているので、「3.十分満足できる状況」に至っていると言えよう。例えば、写真5-1-5は、ある小学校の低学年の教室の掲示である。このクラスでは、お菓子のパッケージを集めて、それを利用して教室を飾るプロジェクトに子どもたちを従事させ、そのような活動を通じて、カタカナに親しませたり、言葉の成り立ちに興味を抱かせたりしている。

写真5-1-5:子どもたちの意欲を喚起する家庭学習課題
写真5-1-5:子どもたちの意欲を喚起する家庭学習課題

図表5-1-12:家庭学習指導力の評価基準試案(一部) 図表5-1-13:授業連動力の評価基準試案(一部)

<注記>
(6)田中博之・木原俊行・大野裕己(監)『「読解力」を育てる総合教育力の向上にむけて−学力向上のための基本調査2006』Benesse 教育研究開発センター、2007年

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