授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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第5章 家庭学習力向上への学校・教師の取り組み−家庭学習力向上へのトータルデザイン /
5-2 自己マネジメント力が子どもの総合学力を伸ばす

1.自己マネジメント力とは何かー自己学習力を超えて

自己マネジメント力とは、R−PDCAサイクルを通して自己の学習や生活のあり方を自律的に改善する力である。例えば、親や教師からいわれていやいやながら勉強するのではなく、また、子ども向けのノウハウ本を頼りにしてそこで示された方法だけを実行するのでもなく、自分の学習と生活の実態を自覚して、その反省に立った改善プランを作成・実行することができたとき、初めて自己マネジメント力が身に付いたといえるのである。

言い換えれば、自己マネジメント力は、「子どものR−PDCA実践力」ということもできる。これまで大人が会社の経営や学校の運営を改善する手法として使われてきたR−PDCAサイクルモデルを、子ども自身の自己改善の手法として子どもが使いこなす力を育てることを提案したいのである。

もちろん、こうした子どものR−PDCA実践力は、初めは学校で教師が育てるべき学力である。しかし、2〜3年にわたる学校での育成教育を通して、子どもたちの中に少しずつこのR−PDCA実践力が身に付いてきたなら、それを活かして子どもたちに自己の家庭での学習と生活のあり方を進んで改善する機会を保護者とともに与えてやることが大切である。なぜなら先に述べたように、家庭こそが子どもたちが自己の学習と生活を自由にそして個性的に作り出し、実践することができる唯一の場だからである。つまり、私たちは、「自己の学習と生活をデザインする力」をすべての子どもたちが身に付けられるようにすることが、これからの学校教育の使命であると考える。もちろんその課題の達成のためには、保護者の協力が欠かせない。

ここで「デザイン」という表現を用いたのは、自己マネジメント力を身に付けた子どもたちに、自己の家庭学習を自律的・主体的・個性的に創造していって欲しいという願いがあるからに他ならない。「自分の人生設計のコンセプトと将来の夢を探したい!」「夢の実現のためには、こんな勉強の仕方が自分には合っているな」「もっとテレビ視聴の時間を減らして読書に回せないだろうか」「学校の宿題以外にもこんな勉強がしたい」「教科書に出てきた作家の他の作品も読んでみよう」といったことを自由に構想できるのは、まさに家庭なのである。こうした真に「自分らしくなれる場」として、そして「自分を自分らしく創る場」として、家庭での学習と生活を意図的・計画的に創造する力が、自己マネジメント力なのである。

ではもう少し具体的に、家庭で子どもが動かすR−PDCAサイクルの特徴について見てみたものが、 図表5-2-1である。

図表5-2-1:家庭におけるR−PDCAサイクルの特徴段階

このようにして、R−PDCAという5つの段階で子どもが自らの学習と生活を改善して行く力を、自己マネジメント力と呼び、その育成の方法を考えることが今こそ必要になっている。

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