授業と家庭学習のリンクが子どもの学力を伸ばす -学力向上のための基本調査2008より

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終章 今後の展望と子どもの学力を高める提言10か条

2.イギリスの保護者憲章に学ぶ学校と家庭の連携

今後の子どもの家庭学習力育成のあり方を、学校と家庭の連携からさらに発展的に考える上で大きなヒントを与えてくれるのは、イギリスの保護者憲章であるので、少し詳しく紹介したい。

イギリス(本文中では、イングランド地方のことを指す)では、保護者憲章(Parents Charter)は、当時の教育省が1994年に改訂して公開したことが契機となって、多くの学校で各学校独自の保護者憲章づくりを推進させることになった。それは、学校教育の質の向上のために保護者が学校に協力すべき義務項目と、保護者が学校に対して要求できる権利項目から成り立っている。

一方、わが国では、まだこのような明文化された保護者憲章を持っている学校は少ない。しかし、イギリスで保護者憲章が必要となってきた背景を探ってみると、日本の学校教育が遅かれ早かれたどることになる道を指し示しているように見える。

その理由は、まさに、「家庭の教育力なくして学校改善なし」という原則である。もちろん保護者の権利項目は、必ずしも学校改善とは直接的な関係を持たないように感じられるかもしれないが、逆に、そのことを通して学校が保護者の教育ニーズに十分応えて、説明責任と結果責任を果たす力を備えるための自律的な努力を学校に求めるという意味で、学校改善につながることを期待していることは明白である。

(1)学校における授業妨害と学力低下

保護者憲章を必要とする最も大きな背景的な理由は、学校における授業妨害の頻発とそれに伴う子どもの学力低下である。もちろん、イギリス全体で見ると、確かに全国的な学力調査の結果やOfSTED(教育水準局、または、学校査察委員会と訳される)の学校査察のレポートによれば、子どもたちの学力はこの10年ほどの間に、着実に向上していることがわかる。

しかしながら、一部の児童生徒による大声や暴行、立ち歩き、教室外への飛び出しなどによる授業妨害は、ますます増えているのが実態である。そのため、この数年ほどは、国営BBC(英国放送協会)を始めとして民間のテレビ局も、教室内に設置したテレビカメラの映像を用いてその実態をレポートするといった過激な手法を用いて、この授業妨害という事実を積極的に報道するまでになっている。

もちろんその当然の帰結として、授業妨害が頻発する学級や学校においては、学力が低下しており、その改善は待ったなしの状況にあるといってよい。

さらに、授業妨害にまでは至らなくても、遅刻、無断欠席、無断早退についても、家庭での保護者の協力なしには、改善されない状況になっている。

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