ここ数年、教育改革の名のもとにさまざまな制度的変更が学校にもたらされた。その場合、教務主任としてどのような判断傾向がみられるであろうか。

　なお、調査結果を提示するが、その場合、「とても賛成＋やや賛成」＝「賛成」、「やや反対＋とても反対」＝「反対」で示す。また、調査4年目を経年で示すために、必要な場合（　）内に2007年、2006年、2005年の順で示す。（新規）は新たに今年度（2008 年）調査したものをさす。

　今回、特に注目されるのは全国的な「主幹教諭の導入」（新規）である。未実施の地域が多い中での判断が注目されたが、「賛成」が20.0%、「反対」が30.2%、「どちらともいえない」が48.9%となっている。現状では一部導入がみられるが、実施校との差異はこの調査ではよくわからない。

　　「教員免許の更新制」については、今年度試行的に実施され、来年度から本格的に実施されるが、「賛成」が14.3 %（16.8 %）、「反対」が55.5%（48.5 %）と、今年は「反対」が半数を超えている。

　「教員の人事考課制度」については、実施状況として徐々に全国に広まっていると考えられるが、「賛成」は22.9%（18.9%、21.0%、20.3%）、「反対」も31.6%（36.2%、30.0%、30.3%）であまり変わらない。実効性に疑問がみられるのであろうか。

　これらは学校経営の基盤を形成する教員の資質・能力の向上や学校の成果に結びつくもので、今後本格的に実施されるものである。

　新学習指導要領に関するものでは、いくつか注目される調査結果がみられた。

　まず、「年間授業時数の増加」（新規）であるが、新教育課程では各学年週1時間増が確定している。それに対して「賛成」は42.6%、「反対」は21.0% であった。これまでも授業時数増に向けたさまざまな学校の取り組みがみられたが、関連するものでは「土曜日の授業や補習」は「賛成」が20.1%（16.7%、14.1% 、13.4%）でやや増加、「反対」が50.0 %（56.3% 、55.5%、55.3%）でなお5割である。「長期休業期間の短縮」は「賛成」が13.6%（10.9%、9.0%）、「反対」が57.8%（60.5%、57.0%）で依然反対が多い。「二学期制・二期制」も授業時数増への対応と関連があるが、「賛成」が20.7%（19.7%、18.9%、20.6%）、「反対」が41.9%（39.6%、37.6%、33.6%）である。「反対」がやや増加傾向にある。

　新学習指導要領による変化としてあげられる「『総合的な学習の時間』の縮減」（新規）については、「賛成」が68.8%、「反対」が11.7%であった。また、「『選択教科』の縮減」（新規）は、「賛成」が71.3%、「反対」が11.4%であった。

　なお今回、「賛成」が多かったものは、次の通りである。
(1)「環境教育」（新規）92.3% 、(2)「情報教育」（新規）92.0%、(3)「家庭学習の指導」（新規）90.9%、(4)「キャリア教育や進路学習」89.9%（87.0%、81.8%、77.0%）、(5)「生活習慣の指導」（新規）89.5%、(6)「小・中学校の連携」88.8%（87.9% 、88.6 % ）、(7)「食育」83.6%（67.9% 、66.7%）、(8)「学校のIT化」77.5%（76.3%、71.5%、71.4%）。

　「食育」が増加したことが注目される。これらの項目はすべて「賛成」が際立って多く、全国一律に必要とされていると判断できるであろう。