中学校の学習指導に関する実態調査報告書2009―「学校外教育活動に関する調査」から

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3.社会科の学習指導 (社会科教員調査)

【解説】調査結果から読み取れること
元全日本中学校長会長  佐野 金吾

1.移行措置と今年度の取り組み

新学習指導要領が公示され、教科等の指導は平成21年度から移行措置によって行うことになった。したがって、この4月から中学校のすべての教育活動は現行の学習指導要領の総則に示す「教育課程の一般方針」「授業時数の取扱い」および「指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の規定によらず、新学習指導要領の第1章「第1 教育課程の一般方針」「第3 授業時数等の取扱い」および「第4 指導計画の作成等に当たって配慮すべき事項」の規定にしたがって取り組むことになる。今年度は、中学校の場合は小学校と異なって週当たりの授業時数は増えないので、移行措置によって各学校の教育課程を工夫して教科等の指導を行うことになる。ここで大切なことは、移行措置によって新学習指導要領の第1章「第1 教育課程の一般方針」に示された学力観、学習指導観によって授業を行うことである。新学習指導要領に示す学力観とは「基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させ、これらを活用して課題を解決するために必要な思考力、判断力、表現力、その他の能力をはぐくむ」ことであり、これらの学力をはぐくむためには「主体的に学習に取組む態度を養」う学習指導が重要である。さらに「生徒の言語活動を充実するとともに、家庭との連携を図りながら、生徒の学習習慣が確立するよう配慮しなければならない」と具体的な活動にまで踏み込んだ指摘をしている。これらの指摘を今年度の社会科の授業でどのように取り入れて実践するか、今年度の移行措置への対応として大きな課題である。

社会科の今年度の取り組みとしては、「平成21年度から平成23年度までの第1学年から第3学年までの社会の指導に当たっては、現行学習指導要領第2章第2節の規定にかかわらず、その全部又は一部について新中学校学習指導要領第2章第2節によることができる」とあるように、現行の学習指導要領によって作成された教科書によりながらも新学習指導要領に示す学力観、学習指導観による授業実践の工夫が求められている。

2.平成21年度、中1社会科の授業の進め方について

この設問に関して移行措置は何ら具体的な指示はないので、調査結果は昨年度の状況と大きな変化はないものと思われる。調査結果では、ほとんどの中学校で1学年の社会科は地理的分野と歴史的分野の両分野の授業が行われていることを示している。ただし、1週間の授業時数が3単位時間ということもあって、地理・歴史両分野の1週間における授業の持ち方はさまざまである。なお、1学年の社会科の授業を一人の教員が担当している場合と複数の教員が担当している場合では両分野の扱い方はかなりの相違が見られると思われるが、本調査では、この点に関しては不明である。

調査結果からはさまざまな工夫が読み取れるが、おおむね指導上で区切りのいい時期に地理・歴史の指導を入れ替えている学校が多い。それは、1.2週間ごとであったり、月や単元の区切りであったり、定期試験、学期ごとの入れ替えなどである。このことは、授業を受ける生徒にとっても、指導する教師の立場からも妥当な取り組みと考えられる。とくに生徒にとっては、一つのテーマや学習課題に取り組む場合にはある程度まとまった時間の授業の方が分かりやすいし、教師にとっても指導しやすい。なお、学期ごとに入れ替える場合に地理と歴史の順序については、中1では、地理→歴史→地理がもっとも多く、次いで地理→歴史→歴史となっている。地理にしても歴史にしても、中学校入学時の学習内容は、生徒の学習状況を考慮してあるので地理・歴史のどちらかを選択しなければならないとする必然性はない。それぞれの学校や教師の実態に即し、社会科の3年間の指導計画に則って実践するのであれば何ら問題はない。しかし、どのような順序で実施するとしても、学校の年間指導計画にしたがって、学校として、担当教師として、計画的、継続的、系統的に授業が行われることが重要である。地理・歴史の授業の順序を教師の恣意によって行うことは生徒の学習を混乱させるので避けなければならない。

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