中学校の学習指導に関する実態調査報告書2009―「学校外教育活動に関する調査」から

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3.社会科の学習指導(社会科教員調査)
【解説】調査結果から読み取れること

3.生徒の学力水準を確認する際に参考にしているもの

現行の学習指導要領における教科指導の評価は「観点別学習状況」と「評定」で行うことになっている。社会科の「観点別学習状況評価」は「社会的事象への関心・意欲・態度」「社会的な思考・判断」「資料活用の技能・表現」「社会的事象についての知識・理解」の4観点で、評価の基準は各分野の目標に照らして「おおむね満足できると判断されるもの」を「B」としており、「B」と評価できれば、設問の学力水準に達したととらえることになる。同様に評定も「3」であれば学力水準に達したものとしてとらえ、以下、調査結果を分析してみる。

「授業中の態度・様子」からとらえられる評価情報は4観点のすべてを対象とすることができるので8割近くが実施していると答えている。教師の生徒を見る目はキャリアを積むことによって高まるが、教師が授業の導入段階でその時間の授業のねらいを明確に把握していれば授業態度からかなり適切な評価情報をとらえられる。特に4観点のうち、関心・意欲・態度の評価は授業中の生徒の活動状況で把握することができるし、すぐれた評価方法でもある。関心・意欲・態度の観点についての評価は定期テストなどのペーパーテストではかえって困難である。授業中の生徒の学習状況を適切に把握していることは授業の充実にも重要である。

「グループ学習の態度・様子」では、「回答なし」が半数を超えている。このことは日常の授業が教師主導の授業形態をとっていることから適切な結果と思われる。現行の地理的分野の学習活動に「グループ学習」を取り入れることは十分考えられるが、歴史的分野の授業では学習内容の特性から「グループ学習」を取り入れることは、授業時間の関係からも困難であろう。

「小テスト」については7割近くが実施しているようだが、社会科では「小テスト」は知識の確認として従来から多くの学校で実践している。「小テスト」を計画的・継続的に実施していくことによって生徒の学習状況の変化がとらえられる。「小テスト」の内容や方法を工夫すると「ポートフォリオ」評価として活用でき、学期末や学年末の評価の際に十分に活用できる。

「定期テスト」についてはほとんどの教師が活用している。定期テストも年間評価計画にそって実施すれば、4観点のほとんどを評価できる。各回の定期テスト問題の吟味と年間評価計画の工夫は今後も必要である。新学習指導要領における教科指導の評価に関しても、近々何らかの指示がでるだろうが、現行の考え方と大きく変わることはないと思われる。

「実力(学力)テスト」は学校外の機関が作成したテストを校内で実施した状況を示すものであるが、最近、校内のテストによる評価の客観性を把握するために実施する学校が増えている。生徒の学力に関して客観的なデータによって学校としての説明責任を果たそうとする動きがみられる。

「通常の宿題」「長期休暇における宿題」に関しては、宿題はほとんどの学校で実施しているが、その結果を評価として活用しているのは約半数で、ほぼ妥当な結果であろう。なお、宿題を評価の対象とする場合には、その旨を事前に生徒に周知するとともに評価の対象となる宿題の内容にはかなりの吟味が必要である。

4.先行実施における課題

この設問に対して6項目を設けているが、いずれも3.4割程度が「とても思う」と答えている。移行措置では社会科の指導に関して具体的な指示がないことから、このような結果になったものであろう。特に教科書が現行の学習指導要領によって作成されたものであり、年間授業時数や教員数などが現状のままでは社会科の移行措置の規定による実践は困難と思われる。

5.授業時数の増加に対する認識

この設問に対しては、どの項目も「適切」と答えた割合がほぼ7割となっている。移行措置期間中の年間授業時数を考慮すれば、今年度の社会科の授業時数をさらに増やすことは困難であることから、妥当な結果と思われる。

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