放課後の生活時間調査

    PAGE 1/10 次ページ

第2部 子どもの行動パターン別にみる生活時間と意識

第3章 受験が子どもの生活に与える影響を考える


邵 勤風(ベネッセ教育研究開発センター研究員)

<要旨>
各学校段階での受験予定の有無によって、時間のすごし方や意識が異なる。受験予定のある子どもはどの学校段階でも勉強時間が長いにもかかわらず、勉強時間をさらに増やしたいと回答している。また、勉強時間の増やし方は各学校段階でそれぞれ特徴がある。中学受験予定がある小学生は睡眠、遊び、テレビなどの時間を、高校受験が迫っている中3生はおもに部活動の時間を削っている。大学受験予定のある高校生はメディアの時間を抑えている。受験という目標は子どもを勉強に向かわせる1つの原動力ではある。しかし、子どもの発達段階によって、子どもの心身への負担が大きいといったマイナス面の影響もある。子どもの成長にとってプラスとなるような受験や時間のすごし方を考えたい。

1.はじめに

小・中・高校生の1日24時間のすごし方を規定する要因はさまざまである。受験はそのうち大変重要な要因の1つと考えられる。本章では、受験という切り口から、各学校段階によって、子どもの24時間のすごし方がどのように違ってくるのかを分析する。さらに、小学校から高校までを通して、それぞれの受験が持つ意味の相違を明らかにし、子どもの生活に与える影響を探る。

2.中学受験予定別にみる小学生の生活時間や意識の違い

本調査結果をみると、小5生と小6生では、学年による生活時間や意識の差がそれほど大きくない。学年よりも中学受験予定があるかどうかで子どもの生活時間が大きく異なっていることがわかる。したがって、本節では、アンケート調査の「あなたは、どこかの中学校(私立、国立、公立中高一貫校など)を受験しようと思っていますか」という設問に対し、「はい」と回答した人を「中学受験予定あり群」、「いいえ」と回答した人を「中学受験予定なし群」とし、両者の24時間の使い方や意識に関する違いを分析する。

まず中学受験予定の有無別に1日の時間配分(「24時間調査」の結果)をみてみよう(図3−1)。特徴としては中学受験予定あり群は、「勉強」時間が長い(中学受験予定あり群163.4分>中学受験予定なし群64.4分、99.0分差、以下同)。一方、中学受験予定なし群は、「睡眠」(488.9分<521.1分、32.2分差)、「メディア」(59.2分<88.4分、29.2分差)、「遊び」(30.5分<46.5分、16.0分差)、「習い事」(24.9分<35.1分、10.2分差)などが長い。ちなみに、「メディア」時間の差は、ほとんど「テレビ・DVD」時間の差によるものである(図表省略)。中学受験予定あり群は睡眠、遊び、テレビなどの時間を削って、勉強時間を増やしているようすがうかがえる。

図3-1:1日の時間配分(中学受験予定の有無別)

ここでは、勉強時間を取り上げ、その詳細をみてみる。勉強時間の内訳は、「家での勉強(学校の宿題)」「家での勉強(学校の宿題以外)」「学習塾」の3つである。図3−2は中学受験予定の有無別にみた全体平均時間である。この図から2つのことがわかる。1つめは中学受験予定あり群は予定なし群より100分弱、勉強時間が長いこと。2つめは中学受験予定なし群の勉強は学校の宿題が中心であるのに対して、予定あり群は学校外の勉強が中心であること。

図3-2:勉強の平均時間(1日あたり、中学受験予定の有無別)

     PAGE 1/10 次ページ
目次へもどる 調査・研究データ