神奈川県の公立中学校の生徒と保護者に関する調査報告書

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第1部 親子関係・子育て
第2章 学校環境、親子関係が子どもの自己否定感に与える影響

4.2 重回帰分析

以上の分析を踏まえた上で、他の変数を統制してもなお、前述してきた仮説が支持されるか確認するために、重回帰分析を行う。

表10が重回帰分析の結果である。全体での分析結果と、学力階層別での分析結果を出している。自己否定感に影響を及ぼすと想定される「性別」「クラス内友人数」「蔵書数」「所有財スコア」(後二者は階層指標)を統制変数に加えて分析を行った。

全体での分析を見てみると、これらの統制変数を加えてもなお、「議論をしたり意見を発表しあったりする授業」や「自分で調べてレポートなどにまとめる授業」は子どもの自己否定感に影響がほとんどなく、「先生から話しかけられる」ことと、「親からよくほめられる」ことは子どもの自己否定感を軽減させる効果があることがわかった。「スポーツや余暇を親と楽しむ機会が多い」ことは全体での分析では影響が見られないという結果になったが、このことについては学力別の分析結果のところで後述したい。

学力別の分析結果を見ると、「議論をしたり意見を発表しあったりする授業」や「自分で調べてレポートなどにまとめる授業」はやはり学力上位・下位にかかわらず子どもの自己否定感に影響がほとんどない。一方で、「先生から話しかけられる」ことは学力上位層、下位層ともに影響があるという結果になった。クロス集計においては学力下位層により強い影響が現れるように読み取れたが、表10を見ると標準化偏回帰係数が学力上位層で−0.065、学力下位層で−0.081となっており、影響の仕方はさほど大きく変わらないことがわかった。

また、「親からよくほめられる」ことは学力上位層に強く影響し、下位層では影響が見られないということが読み取れるが、これは当初の仮説・クロス集計と同じ結論である。「スポーツや余暇を親と楽しむ機会が多い」は全体での分析では影響が見られないという結果になっていたが、学力別の結果では学力下位層に強い影響を及ぼしており、標準化偏回帰係数は−0.073と「クラス内友人数」とほぼ同じ大きさであった。「スポーツや余暇を親子で楽しむ」ことの効果は学力上位層においては見られず、学力上位と下位で対照的な影響の仕方をしていることがわかった。

表10 自己否定感の規定要因(重回帰分析)
表10 自己否定感の規定要因(重回帰分析)

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