３） 社会階層と親の意識・行動の関係

前述のように、親の意識や行動は、多くの項目において子どもの学力と強い関係が見られる。そこで次に、これらの項目と社会階層との関係について見てみたい。本調査においては、保護者票の約9割は母親が回答しているので、ここでは、階層の指標として母学歴をとって見てみることにする。表2−3は、学力と強い関係のあった項目と母学歴との関係を見たものである。これを見ると、いずれの項目も母学歴との関係が強いことがわかる。特に学歴による差が大きく見られたのは、「子どもが小さいころ、絵本の読み聞かせをした」「博物館や美術館に連れて行く」「家には、本（マンガや雑誌を除く）がたくさんある」「本（雑誌や漫画を除く）を読む」「美術館や美術の展覧会へ行く」「子どもが英語や外国の文化にふれるよう意識している」などの項目である。すなわち、本や読み聞かせといった「文字・読書習慣との親和性」と美術館や博物館などの「芸術や外国文化への志向性」が階層と密接に関係していることがわかる。

「テレビゲームで遊ぶ時間は限定している」に関しては、「持っていない」という回答も加え、母学歴との関係を見た。その結果、中卒・高卒で21.6％、大学・大学院卒で42.6％と、高学歴の母親ほどテレビゲームを制限している傾向が明らかになった。