教育格差の発生・解消に関する調査研究報告書

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学力調査問題解説

3)本学力調査が測っていたもの −活用問題の正答率に注目して−

各教科の結果の詳細な分析は他稿に譲るとして、ここでは特に活用問題の正答率に注目し、そこから浮き彫りになる本調査問題の特徴を検討したい。

国語、算数ともに活用問題の平均正答率が基礎問題の平均正答率よりも低いことは従来の諸調査の傾向より十分想定されることである。特に今回の算数の活用問題の平均正答率の低さは、予備調査から出題問題の大幅な変更を加えていないことからも予測されていた。国語の活用問題の平均正答率は43.7%、算数の活用問題の平均正答率は28.5%である。ここではこの平均正答率自体の評価は行わない。

さて、算数の活用問題の平均正答率28.5%を下回っていた学校は全42校中17校、その中で国語の基礎問題・活用問題、算数の基礎問題すべてが平均正答率を下回っていた学校が11校ある。半数以上の学校で国語・算数の総体としての正答率が低いということであり、これは問題ではあるが驚くことでもない。

残り6校のうち、国語の基礎問題と活用問題と算数の基礎問題がすべて平均正答率を上回っていた学校が1校、国語と算数の基礎問題が平均正答率を上回っていた学校(=国語の活用問題は平均正答率を下回る)が1校、算数の基礎問題のみ平均正答率を上回っていた学校(=国語の基礎問題と活用問題がともに平均正答率を下回る)が1校、国語の基礎問題のみ平均正答率を上回っていた学校(=国語の活用問題と算数の基礎問題は平均正答率を下回る)が2校、算数の基礎問題と国語の活用問題が平均正答率を上回っていた学校(=国語の基礎問題が平均正答率を下回る)が1校である。

算数の活用問題の平均正答率を下回った17校中、国語の活用問題の平均正答率を下回っていた学校は15校ということになり、国語の活用問題の正答率と算数の活用問題の正答率には何らかの関係があると考えられる。それは17校中、算数の基礎問題の平均正答率74.3%の前後(85.8〜70.0%)で、全42調査校からみても比較的上位にある10校のうち、国語の基礎問題・活用問題ともに平均正答率を上回る学校は1校のみで、国語の基礎問題・活用問題ともに平均正答率を下回る学校が6校、国語の活用問題が平均正答率を下回る学校が2校であることからもうかがえる。なお1校のみ、国語の基礎問題で平均正答率を下回る一方で活用問題では平均正答率を上回っていたという事実を重く受け止めるとするならば、国語の基礎問題・活用問題という区分よりも、基礎・活用を合わせた「国語」の正答率と「算数の活用問題」の正答率に関係があるということであろう。

なお、算数の活用問題の平均正答率の低い6校と国語の活用問題の正答率の対応は{16.1%(算数活用)−35.7%(国語活用)、以下同。16.7%−34.8%、17.7%−39.5%、19.0%−37.9%、19.4%−31.2%、20.0%−34.8%}となっており、特に国語の活用問題の平均正答率43.7%を大幅に下回っている点が目を引く。この6校のうち、たった1校のみが国語と算数の基礎問題がともに平均正答率を上回っているに過ぎない(国語が74.4%、算数が74.5%)。残り5校は国語と算数の基礎問題・活用問題が総体として関係しあって結果が低いことを示しているだけ、であるとも言えるが、それでも上述の考察からは、算数の活用問題の正答率には、算数の基礎問題の正答率との関係とともに、国語の、とりわけ活用問題の正答率が関係していると言えそうである。

今回の学力調査問題では国語、算数の活用問題ともに所与のテキスト、あるいはグラフや図から、設問に応じて適切な情報を抜き出すこと、その情報を関連づけたり、その関連づけを説明するといった設問より構成されていた。教科ごとの学力調査の活用問題というと、教科固有の既有の知識を適用する設問というイメージが思い浮かぶであろうが、今回の調査では教科に共通する能力が測られていたであろうことが推察される。

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