学校外教育活動に関する調査

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解説・提言1 子どものスポーツ・芸術活動の規定要因

3.活動パターン別の教育費と家庭の特性

学校外教育費の研究では、都村(2008)が学校外教育の類型別に教育費を算出し、保護者の特性を分析している。ただし活動は、塾と習い事に限定され、習い事の活動の種類はスポーツ活動と芸術活動が混在している。

今回のデータでは、習い事を活動内容でスポーツ活動と芸術活動に分離し、家庭での学習活動も含めた4種類の活動から、子どもの活動パターン別の教育費を算出した。表A−2では、16種類の活動パターン別に、月額教育費平均、世帯年収平均等の家庭の特性を明らかにした。

表A-2:子どもの活動パターンと教育費および諸属性

4種類の全活動を行っている「全活動あり」のタイプ(1)がもっとも教育費支出額(学校の授業料を含む)も高く、月額平均で44,300円、その家庭背景をみても世帯年収平均779万円、父母大卒率51.9%と、高い階層の家庭の子どもであることがわかる。

他方、「活動なし」のタイプ(16)は、教育費が最も低く17,600 円、世帯年収が536万円、父母大卒率23.5%と、他のタイプと比べて恵まれた階層とはいい難い。

このタイプ(16)のなかには、幼児、高校生の不活動層が多いため、小学生のタイプ(16)だけを抽出して家庭背景をみてみよう。

小学生の「活動なし」のタイプ(16)に限定すると、教育費が9,100円、世帯年収が489万円、父母大卒率が13.4%と低い。専業主婦率66.1%、四大以上を期待する率が45.1%、女子率43.6%、平均子ども数2.10人という状態であった。家庭の経済資本および父母学歴において、もっとも低いグループであることがわかる(図表省略)。

すなわち相対的な貧困層では、小学生期にスポーツ活動、芸術活動の経験を得られない子どもが多く出現しやすく、子育ての格差問題として指摘できる。

解決策としては、ボランティア団体による活動や自治体主催の地域活動もあるので、金銭的な負担がなくても、子どもが何らかの教育活動を経験することが可能であるという情報提示と、親と子どもへの直接的・間接的な働きかけによる彼らの主体的選択を促す方法が考えられる。

4.教育費支出からみた芸術・スポーツ活動の格差

教育費支出は、子どもの性別(ジェンダー差)と世帯収入によって差のあることが明らかになっている(ベネッセ教育研究開発センター『子どものスポーツ・芸術・学習活動データブック』2009 図1−2参照)。

教育費支出額のジェンダー差については、「スポーツ活動」では、男子平均4,200円、女子平均3,100円と1,100円の差がある。また「芸術活動」への教育費支出額は、とくに子どもの性別による差が大きく、女子(平均3,300円)は男子(同1,000円)の3倍以上となっている。

家庭の世帯年収差も影響しており、年収400万円未満の家庭が「スポーツ活動」に平均2,400円を支出するのに対し、800万円以上の家庭では平均4,900円となる。当然、これらの数値は子どものスポーツ活動率の格差にもつながっている。芸術活動への支出額は、年収400万円未満家庭で平均1,100円、800万円以上家庭ではその3倍以上の3,600円であった。

このように親の経済状況は、子どもの芸術活動およびスポーツ活動に対して、参加の有無や教育費支出額の多少を左右する大きな要因となっていた(同、図3−5図4−4参照)。しかし子どもの活動の階層差は、経済状況だけで生じるものではない。子どものスポーツ活動・芸術活動の規定要因を多面的に分析する必要がある。

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