第4回学習基本調査報告書
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第2節 PISAに対する認知

小・中学校教員ともにPISAの認知率は4割程度である。しかし、知っている教員の9割は、そこで問われている力を学校教育で育てることについて必要だと感じている。中学校教員について担当教科別にみると、PISAを認知している割合やPISA型学力を意識した指導を実施する割合は、国語の教員がもっとも高い。   【Q13(教員)】

 1.PISAの影響

 本節では、OECD(経済協力開発機構)が実施している「OECD生徒の学習到達度調査:PISA」(Programme for International Student Assessment)に対する教員の認知や意識を検討する。PISAは、15歳児(日本では高校1年生)を対象として、2000年以降に3年のサイクルで実施されている。調査領域は、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3分野である。義務教育終了段階でもっている知識や技能を、実生活で直面する課題にどの程度活用できるか評価することを目的としている。生活場面で遭遇するような状況に関する課題文や図表などが問題に取り入れられているのが特徴である。2006年に実施された調査では、57の国と地域が参加した。

 2000年、2003年、2006年と調査を重ねるごとに、参加する国・地域が増えており、順位や平均点などの推移を厳密にとらえることはできない。しかし、日本の順位が下がっているため、学力低下を裏づける1つの資料として用いられている。ちなみに、各回の日本の順位は、読解力8位→14位→15位、数学的リテラシー1位→6位→10位、科学的リテラシー2位→2位→6位となっている。2007年12月に、2006年調査の結果が発表されると、新聞やテレビなどのメディアは、日本の子どもたちの学力低下の状況が依然として続いていることを大きく報道した。

 文部科学省は、2003年調査の結果を受けた時点で、「我が国の学力は国際的に見て上位にあるが、読解力の低下など、最上位(世界トップレベル)とは言えない状況」であるとの認識を示し、学力向上のためのさまざまな施策を打ち出した。2005年10月に発表された中央教育審議会の答申『新しい時代の義務教育を創造する』のなかでも、子どもたちの学力の状況について、「国際的な学力調査の結果から、成績中位層が減り、低位層が増加していることや、読解力、記述式問題に課題があることなど低下傾向が見られた」と述べ、学習指導要領の理念を実現するための「具体的な手立てに関し、課題があると考えられる」と結論づけている。さらに、2008年1月に発表された答申『幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善について』でも、2007年4月に行われた「全国学力・学習状況調査」の結果とともにPISAの結果が頻繁に引用されている。「学習指導要領改訂の基本的な考え方」の項では、「子どもたちの学力に関する各種の調査の結果は、いずれも知識・技能の活用など思考力・判断力・表現力等に課題があることを示している」として、「各教科の指導の中で、基礎的・基本的な知識・技能の習得とともに、観察・実験やレポートの作成、論述といったそれぞれの教科の知識・技能を活用する学習活動を充実させる」必要があると述べられている。活用力の育成を重視する指針の提示である。

  このように、PISAの結果は、中央の教育行政において政策を判断する1つの根拠として、とても重視されている。
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