第4回学習基本調査報告書
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第1章 教育課程編成


第1節 年間授業時数

 小学校では、56.8%が標準年間総授業時数を超える時数を設定し、各教科・領域等の年間授業時数も「全般型」「国・算型」「英語型」「特別活動型」など多様な配当タイプがみられる。中学校では、標準年間総授業時数を超える時数を設定しているのは22.9%にとどまり、「総合的な学習の時間」「選択教科」の時数設定で時間割の多様化を図っている。 【Q2(学校)】

 現行の学習指導要領で定められている年間授業時数は、標準的なものであり、各学校が地域の状況や児童・生徒の実態にあった授業時数を定められることになっている。とくに、学力低下の懸念が社会問題となって以来、年間授業時数を標準どおり確保するだけでなく、標準時数を超えた設定をする学校もみられるようになってきた。

  では、現在、小・中学校では、どのような授業時数の設定をどのくらいの学校がしているのだろうか。年間総授業時数と各教科・領域等の年間授業時数の設定状況を学校調査の結果からみていくことにしたい。

 1.年間総授業時数は、5割強の小学校が標準より多く設定、中学校は7割が標準どおり

 小・中学校では、年間総授業時数をどのように設定しているのだろうか。図1-1-1は、小・中学校の学年ごとの年間総授業時数の設定状況をまとめたものである。

 小学校では、どの学年でも「標準どおり」に設定しているのは4割前後で、5割強が標準を上回る設定にしている。標準年間総授業時数からの上回り方としては、小1〜小3生は「標準より36〜70時間多い」と「標準より71時間以上多い」がともに2割程度だが、小4生から上回る授業時数が増えてきて、小5〜小6生では「標準より36〜70時間多い」が1割程度なのに対して「標準より71時間以上多い」は3割程度にもおよんでいる。このことから、学年が上がるにつれて、標準年間総授業時数をより多く上回るように設定する傾向があることがわかる。

 一方、中学校はどの学年も7割ほどが「標準どおり」に設定していて、標準を上回る設定をしているのは2割程度である。標準年間総授業時数からの上回り方としては、小6生で多くみられた「標準より71時間以上多い」は中1〜中2生が6%ほどで、中3生では3.2%しかない。また、中3生では「標準より1〜35時間多い」が14.7%と中1生や中2生よりも多く、標準からの上回り幅が小さい。

 もともと標準年間総授業時数が小6生よりも35時間多く設定されている中学校では、完全学校週5日制のなかで授業時数をこれ以上増やすことは難しいのかもしれない。または、「選択教科」の時間を上手に活用することで対応しているのかもしれない。なお、標準年間総授業時数を下回る設定は、小・中学校ともほとんどみられなかった。
図1-1-1 年間総授業時数設定の状況(小・中学校/学年別)

 2.年間総授業時数設定のタイプは、小学校の56.8%、中学校の22.9%が「標準超過型」

 では、年間総授業時数の設定にあたって、学校全体としてはどのような傾向があるのだろうか。(1)全学年で標準を超えるか、一部に標準どおりを含む場合を「標準超過型」、(2)全学年で標準どおりを「標準型」、(3)1学年でも標準未満の学年がある場合を「標準未満型」とする3つのタイプに分けた結果を図1-1-2にまとめた。

  小学校では「標準超過型」が56.8%と半数以上に上り、「標準型」は34.1%と3分の1にとどまっていて、標準を超えて年間総授業時数を設定する学校が多数派になっている。一方、中学校では「標準型」が69.8%と全体の3分の2に上り、「標準超過型」は22.9%にすぎない。
図1-1-2 年間総授業時数タイプ(小・中学校)
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