第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)
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第1部 解説・提言2

外国語活動のこれからの課題

国立教育政策研究所教育課程調査官

直山木綿子

 
 外国語活動が2011(平成23)年度4月より本格実施となります。この本格実施に向け、移行期間に、各地域、各学校でその準備に取り組んでいただいていることと思います。移行期最終の2010(平成22)年度には、99.0%の学校が外国語活動を実施予定し、その6割以上が年間35時間実施予定(平成21年度公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査)です。現に今回の10年調査では、99.6%の学校が外国語(英語)活動を実施し(図2−1−1)、77.0%の学校が年間35時間もしくはそれ以上実施しています(図2−1−3)。このようななか、本稿では、「第2回小学校英語に関する基本調査(教員調査)」(以下、本調査)の結果から外国語活動の取り組みの外観をみたうえで、外国語活動の課題について述べ、その解決に向けた取り組みについて検討したいと思います。

1.移行期間における外国語活動の外観

 「総合的にみて、あなたの学級の外国語(英語)活動はうまくいっていると思いますか」に対して、81.1%の学級担任が「とてもうまくいっている」「まあうまくいっている」と肯定的な回答をしていることから(図2−6−3)、その準備はほぼ順調に進んでいることがうかがえます。その大きな要因として、「英語ノート」の存在があげられるでしょう。移行期間中にこれだけ多くの学校が外国語活動に取り組んだのも、「英語ノート」の存在があったからだと考えます。たとえば、本調査の結果では、89.6%の学級担任が「英語ノート」を使用していると答えています(図2−2−1)。また、教務主任にたずねた「指導計画を作成するときに参考にしているもの」では64.7%が、「もっともよく使う教材」では44.0%の比率で「英語ノート」をあげていることからも、「英語ノート」の存在の大きさがうかがえます(巻末基礎集計表PDF 参照)。
 では、うまくいっているという思いを支える、外国語活動を実施するうえでの条件についてはどうでしょう。「外国語(英語)活動を行ううえで必要となる条件などについて、貴校の状況は十分だと思いますか」に対して、06年調査と本調査において、「十分である」「どちらかといえば十分である」と回答した比率からみてみます(図2−6−1)。06年調査よりその比率が20ポイント以上増加している項目は、「外国語(英語)活動の時間数」(45.2%から85.7%)、「ALTなどの外部協力者の来校頻度」(40.8%から66.5%)、「使いやすい教材」(23.8%から46.7%)、「指導のためのカリキュラム」(21.8%から45.6%)、「外国語(英語)活動に関する教員研修」(8.2%から33.2%)です。20ポイントには及びませんが、「教員の積極性」(30.8%から50.0%)もかなり増加しています。
 これらのうち、カリキュラムおよび教材は、外国語活動に限らずどの教科領域においても授業実施には欠かせないものです。前回調査からのこの4年間にこれらの条件整備がかなり進んでいることがわかりますが、それでも、「十分である」「どちらかといえば十分である」以外の回答が5割以上あることから、今後さらにカリキュラム・教材開発は充実していく必要があります。
 さて、カリキュラムや教材が開発・作成されたとしても、自身が小学生の時に外国語活動の授業を経験したことがないことなどから、小学校教員が外国語活動のイメージをもつことは難しいと思われます。そこで、そのイメージがもてるよう、また、外国語活動を通してどのような子どもを育てるのか、作成された教材をどのように効果的に活用するのかなどを、指導者である小学校教員が十分に理解する必要があります。そのためには、外国語活動の趣旨などについて十分に理解を深める研修の実施が必須です。この「教員研修」についての「十分である」という肯定的な回答の比率がかなり増加したとはいえ、10年調査では33.2%にとどまっています。先生方の不安感を払しょくするために、さらなる研修の充実が求められます。
 一方、条件整備において肯定的な回答の比率が低かったのは、「教材の開発や準備のための時間」(5.5%から6.9%)、「中学校との接続・連携」(8.0%から13.7%)、「ALTなどの外部協力者との打合せの時間」(13.9%から19.5%)です(図2−6−1)。これらは、すべて時間と関係しています。中学校と接続・連携をするにしても、小学校教員と中学校教員とが時間を設定して打ち合わせを行ったり、互いの授業を参観し合ったりするその時間を捻出することが難しいのではないでしょうか。外国語活動に限らず、教員の多忙化も大きな原因といえそうです。
 次に、外国語活動の指導者についてみてみます。「貴校では、どなたが外国語(英語)活動を行っていますか」(複数回答)に対して、06年調査と本調査において、「学級担任」と回答した比率は86.8%から97.5%へと、10.7ポイント増加しています(図2−1−4)。一方、「学級担任」以外の、「外国語指導助手(ALT、AETなど)」などの回答の比率は、微小の増加にとどまったり、減少したりしています。また、「実際の授業で中心となって指導を行っているのはどなたですか」に対して、06年調査と本調査において、「学級担任」と回答した比率は28.2%から66.6%へと、38.4ポイントとかなり増加しています(図2−1−5)。その一方で、「外国語指導助手(ALT、AETなど)」などの回答の比率は60.1%から25.6%へと、34.5ポイント減少しています。外国語活動の趣旨から、その指導には学級担任が欠かせないことについての理解が深まり、小学校教員の努力がうかがわれます。このように、今までALTなどの外国語指導助手に指導を任せていたのが、学級担任主導にかわってきたからこそ、小学校教員が実際に指導していくなかで、先述したような課題が生まれてきたと考えられます。
 では、その指導者である学級担任の意識についてはどうでしょうか。「あなたは、外国語(英語)活動を指導することに自信がありますか」に対して、「あまり自信がない」「まったく自信がない」という否定的な回答の比率は68.1%で、学級担任の外国語活動の指導への不安感がずいぶんあることがわかります(図2−3−4)。また、「あなたは、外国語(英語)活動に負担を感じていますか」に対して、「とても感じている」「まあ感じている」という回答の比率は62.1%で、やはり新しいものに対する負担感が依然としてあることがわかります(巻末基礎集計表PDF 参照)。これらは、先にみた条件整備の不十分な項目と大きく関係していると考えられます。
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