第2回 小学校英語に関する基本調査(教員調査)
   PAGE 1/7 次ページ

第3部 テーマ別分析

第1章 必修化による小学校英語の変化 −経年比較より−

今回の教務主任への調査と4年前のそれとを比較したところ、小学校での外国語活動は条件整備の面で大きな前進があり、教員、子どもたちの意識などにも変化が表れ始めている。一方で、教員の授業準備時間や研修、小・中学校間での接続・連携には課題が残っているようだ。

1.小学校英語の変化 −06年調査から10年調査まで−

 近年のグローバル化の進展とともに、外国語、殊に英語の必要性は高まっている。英語教育の開始時期について、とりわけ国民に等しく教育を行う公教育ではどう考えるべきなのか──この議論は、実に20年以上も続いたが、2006(平成18)年3月、中央教育審議会外国語専門部会は、審議経過報告の中で「小学校高学年での週1時間程度の英語教育」を提案した。その後、2008(平成20)年に新学習指導要領が告示され、ここで小学校の教育課程に「外国語活動」が必修として位置づくに至った。
本調査の第1回調査(2006年実施、以降「06年調査」と略)は、中教審により小学校での英語教育が提案された後、学習指導要領が告示される前という間の時期に実施された。中教審の提案に対しても世論はまだ割れていた一方で、全国のほぼすべての小学校では「総合的な学習の時間」などでの英語活動が実施されているという状況だった。その後、新学習指導要領が告示されてからは、文部科学省主導でさまざまな条件整備が進められ、小学校英語を取り巻く環境はここ数年間で大きく変化した(詳細は「調査の背景」p.4参照)。そして、今回の「第2回小学校英語に関する基本調査(教員調査)」(以降、「10年調査」と略)は、これらの変化を経て翌年度に全面実施を控えた移行措置の最終年度での実施となり、小学校英語の大きなうねりに寄り添うかたちで行った。
本稿では、10年調査と06年調査とを比較することにより、この間での小学校英語に関する変化とその影響をデータでとらえ、さらに、2011(平成23)年度から始まる小学校での「外国語活動」全面実施に向けて残された課題について考察を試みる。

2.調査の枠組み

 2つの調査結果を振り返る前に、本調査全体の枠組みについて整理したい。「調査概要」(p.6参照)にもあるように、06年調査、10年調査ともに7〜8月、全国の公立小学校の教務主任を対象に郵送法による質問紙調査として実施した。調査対象(回収数)は06年調査3,503人、10年調査2,383人であった。
回答者の属性について比較してみたところ、男女比はほぼ変わりないが、年齢層について06年調査では「45〜50歳未満」が42.1%とボリュームゾーンだったのに対し、10年調査では「50〜55歳未満」が37.3%ともっとも多くなっている(p.8 図A−2)。06年調査では「教務主任」のみを対象として調査を行い、かなり具体的な項目までたずねていたため、実際には教務主任から英語担当教員などに回答を依頼していた場合もあったのではないかと推測される。一方、10年調査では「教務主任」のほか、「学級担任」にも並行して調査を行ったため、「教務主任」対象の調査票は、多くの学校で教務主任自らが回答したと思われる。このような背景から回答者の年齢層に多少の違いが出たのではないかと推測される。この影響か、「英語などの外国語が好きである」という項目について、「とてもあてはまる」+「まああてはまる」の比率は06年調査では60.6%であったのに対して、10年調査では52.5%とやや低めである(p.8 図A−4)また、回答者の勤務する学校の特性についてみてみたところ、地域性、学校としての教育への取り組み姿勢などに大きな違いはみられなかったが、「校内研究で力を入れている教科・領域」で「外国語活動」と回答した比率は、授業時数の多い「国語」 58.5%、「算数」46.0%に次いで3番目に高い比率である(巻末基礎集計表参照)。10年調査が、必修化への移行措置最終年に行われたことが影響しているものと思われる。このような点をふまえ、以降の結果をご覧いただきたい。

   PAGE 1/7 次ページ
目次へもどる 調査・研究データ