都立専門高校の生徒の学習と進路に関する調査

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第2部 高校入学以前の状況と学習・進路

 第2章 高校生の「勉強意欲」
      ―進路多様校の普通科と専門学科を比較して―

高木 稚佳(東京大学教育学部)

  <要約>
  • 高校生の勉強への意欲低下が深刻な問題となり、その中でも進路多様校に通う生徒の勉強離れは顕著である。しかし、分析の結果から、進路多様校の中でも、専門学科の生徒は普通科の生徒に比較して、勉強への意欲が高いことが示された。
  • 専門教育には、過去に勉強への意欲が低かった生徒の意欲を上昇させ、もともと高かった生徒の意欲を維持させる働きがある。
  • また、生徒が教師のスキルを高く評価している、勉強が将来に役立つと感じている、といった要因が、意欲の上昇に寄与していることがわかった。

1. 問題設定

本稿の目的は、高校生の勉強離れが問題となっている昨今、専門教育の効果に注目して、その解決策を提示することにある。

後述する調査結果が示すように、日本の高校生、特に進路多様校に通う生徒の学習意欲の低下は甚だしい。少子化による大学全入時代の到来や、学歴神話の崩壊など、意欲低下の背景は様々であるが、多くの高校生が勉強への意欲を失っているのは確かなようだ。

しかし、フィールドワークで専門学科の授業を見学した際、生徒たちは授業を楽しみ、その内容に興味を持って取り組んでいる様子が見受けられた。この時、大きな疑問が生じた。勉強への意欲の低下は、あたかも高校生全体で進み、特に進路多様校で程度が甚だしいと捉えられがちだが、実際には、学科によって差があるのではないだろうか。

本稿では、進路多様校の中から、都立普通科高校と都立専門高校の生徒を対象とし、両者の勉強への意欲を比較する。勉強への意欲、つまり「勉強意欲」は、勉強という「強制」のイメージと、意欲という「積極性」のイメージが相反することから、これまであまり注目されなかった概念である。「勉強嫌い」という言葉があらわすように、「勉強」という言葉それ自体に拒否反応を示す生徒が非常に多い。しかし、勉強は人生に不可欠のものであり、強制であってもそれを受け入れ、意欲的に取り組んでいくことが重要といえる。今の高校生に失われているものが、まさにその「勉強意欲」ではないだろうか。そこで本稿では、あえて「勉強意欲」という言葉で、高校生の勉強への意欲を検証していく。そして、高校生の勉強意欲を上昇させる要因を探っていきたい。

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