都立専門高校の生徒の学習と進路に関する調査

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第3部 高校入学後の学校生活

 第3章 専門高校の生徒の部活動と学校適応
      ―部活動における専門性を視野に―

熊谷 信司(東京大学大学院教育学研究科博士課程)

  <要約>
  • 普通科でも専門学科でも、部活動加入者のほうが学校への適応(ここでは「学校生活満足度」を指標に用いた)が高い。
  • 部活動加入が学校生活満足度にもたらす効果は、学校生活の他の諸側面を統制しても成り立つ。それは特に部活動満足度が高い生徒のほうが効果が高い。
  • 部活動の組織形態に着目した場合、専門学科では文化部加入者のほうが運動部加入者より学校生活満足度に正の効果を高くもたらしていた。これは、専門学科における「専門系」の部活動の存在などが、文化系部活動の位置づけに影響を及ぼし、普通科との機能の違いとなってあらわれている可能性がある。
  • 以上から、専門学科における部活動の意味や、生徒の学校生活全般を改めて問い直していく視点を提起する。

1. 問題設定

日本の学校、特に中等教育において、授業を中心とした学習活動以外に、生徒たちにとって大きな活動の軸となっているのが部活動である。人間関係の側面から見ても、部活動はある一定の興味や目的を持って任意に加入・参加する有機的な社会集団であり、クラス(ホームルーム)や学科・学年の枠を超えた人間関係が形成されるという意味でも、生徒たちの社会化や社会関係資本の形成にとって重要な意味を持つといえる。

学校教育における部活動そのものの位置づけは、近年も変化している。たとえば中学校については、2008年に文部科学省が発表した次期の学習指導要領案で、「学校教育の一環として,教育課程との関連が図られるよう留意すること」と記され(文部科学省 2008: 6)、それに向けた中学校現場の課題に関する研究なども行われている(中澤ほか2009)。

このように、部活動は生徒たちの学校生活という観点から、また学校経営や教育実践という面においても、日本の中等教育を考える際には重要な課題といえるだろう。

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