都立専門高校の生徒の学習と進路に関する調査

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第4部 高校卒業後の進路・将来展望
第3章 専門高校女子生徒の将来像

2.変数の設定

主要な変数の作成方法について説明する。

・ライフコース戦略(1)――「仕事本位志向」

Q53E「働かずに生活できるなら、働きたくない」を用いる。この志向は、女性のライフコースにおいて考えると、夫の収入に頼って自らの就業を断念・中断するという意味を帯びてくる。逆にこれを否定する場合、就業に積極的な志向があるといえ、本稿では「仕事本位志向」と呼ぶ。ライフコース戦略の観点からは非常に重要であると考える。

分類は「とてもそう思う」「まあそう思う」と回答した生徒を「仕事本位志向弱」、「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」と回答した生徒を「仕事本位志向強」とした。

・ライフコース戦略(2)――「家事・育児分担志向」

Q52「あなたは、将来結婚するとしたら、家事・育児の分担はどのようにしたいと思いますか」に、「どちらかといえば妻がおこなう」「妻がすべておこなう」とした生徒を「妻型」、「夫がすべておこなう」「どちらかといえば夫がおこなう」「夫と妻が同じくらいおこなう」「結婚するつもりはない」とした生徒を「非妻型」とした※5

また、分析中では上記の2変数をクロスさせ、表1のようなライフコース戦略の4類型を作成した。自身が直接かかわることを想定しているか否かという点から、「妻型・仕事本位志向強」を「両方重視」タイプ、「非妻型・仕事本位志向強」を「仕事重視」タイプ、「妻型・仕事本位志向弱」を「家庭重視」タイプ、「非妻型・仕事本位志向弱」を「重視なし」タイプと呼ぶこととする。

表1:ライフコース戦略の4類型
表1:ライフコース戦略の4類型

・職業アスピレーション――職業志望の有無およびASUC職業志望

職業志望の有無については、Q49「あなたは、将来やりたい仕事がどれくらい具体的に決まっていますか」に、「考えてはいるが、まだ決まっていない」「考えたことがない」と回答した生徒を「職業志望なし」、「はっきりと決まっている」「なんとなく決まっている」と回答した生徒を「職業志望あり」とした。

さらに、「職業志望あり」群を、具体的な職業の記述をもとに「ASUC職業志望」と「非ASUC職業志望」に分類している。ASUC職業の分類に際しては、荒川(2009:76-82)の定義や具体的な内訳を参照した。また、ASUC職業希望を主要な変数として高校生の希望進路の規定要因を分析した、長尾(2009:118-9)の分類基準も参照した。たとえば同一個人の回答でASUC職業と非ASUC職業が併記されていた場合は、非ASUC職業志望者に分類している。この結果、女子生徒の職業志望は表2のように分類された※6

分析は、第1に女子生徒のライフコース戦略を学科別に検証し、専門高校の特徴を示す。第2に、ライフコース戦略と職業アスピレーションとの関連を、学科別に検証する。

表2:女子生徒の「職業志望」表2:女子生徒の「職業志望」

<注>
※5 本稿ではライフコースにおける戦略性という観点から変数の設定を考えた。ここでは、より性別役割分業観に影響された将来像を描きやすい進路多様校の生徒にとっては、家事・育児を自分が中心となって担うか否かという点が設定基準として重要であると考えた。

※6 荒川(2009)は「小分類で、1%を超えた職業、また細目分類で0.5%を超えた職業」のうち、「その職業を希望している生徒の割合」(生徒全体に対する人数比)を「その職業についている人の割合」(国勢調査より算出した全職業人口に対する人数比)で割って「職業の希望倍率」を算出し、5倍以上の職業を「人気稀少職」とした。そのうえで、「大学・大学院卒業者の割合が70%以下」(=学歴不問)の職業を、ASUC職業と定義している。本調査の対象者にはデザイナー志望者の多い工業科や、パティシエ志望者の多い農業科の生徒が多く含まれるなど、「人気稀少職」の構成が、普通科とは異なることが考えられる。今回は希望職の実現可能性を考慮し、より高校生全体の状況に近い荒川(2009)や長尾(2009)の具体的な内訳にあてはまるかどうかという点でASUC/非ASUCを選別した。

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