ベネッセ教育総合研究所
山脇良雄氏にきく
山脇良雄
文部科学省 初等中等教育局国際教育課長
山脇良雄

やまわき・よしお●1984年科学技術庁(当時)入庁。在ウィーン国際機関日本政府代表部参事官(外務省出向)、内閣府原子力安全委員会規制調査課長を経て、2004年1月から現職。
PAGE 1/2 次ページ


英語によるコミュニケーション能力育成の重要性を
小学校の先生にも認識してほしい
 社会のさまざまな面でグローバル化が進んでいる。子どもたちが21世紀をたくましく生き抜くには英語でのコミュニケーション能力が必須と、文部科学省は2002年7月「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」を発表。03年3月には行動計画(注)もつくられ、具体的施策もスタートした。小学校英語活動の現状や今後の動き、特に気になる教科化への動きなどを、行動計画の推進役である山脇良雄課長にうかがった。
注 「英語が使える日本人」の育成のための行動計画とは
 2002年7月につくられた「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」をもとに、予算措置をし、03年度から07年度までの5か年計画で英語教育の改善目標や方向性を明らかにし、国として取り組むべき施策をまとめたもの。「英語が使える日本人」の指標として、「中学・高校を卒業したら英語でコミュニケーションができる」「大学を卒業したら、仕事で英語が使える」など具体的な姿を示している。そして、(1)英語の授業の改善、(2)英語教員の指導力向上および指導体制の充実、(3)英語学習へのモチベーションの向上、(4)入学者選抜等における評価の改善、(5)小学校英会話活動の支援、(6)国語力の向上、(7)実践的研究の推進の7点を大きな柱に施策を進める。
☆詳しくは文部科学省のホームページをごらんください


小学校の88%で英語活動を実施しているが、
年間実施時間は11時間以下が6割
──行動計画の柱の一つに、「小学校の英会話活動の支援」がありますが、現在の小学校での英語活動をどのように総括していますか?
山脇 今年5月に2003年度の小学校英語活動の実施状況調査を行いました。
 それによると、小学校のおよそ88%、約2万校でなんらかの英語活動を実施しています(図1)。これは、評価できる数値だと思います。
図表
 ただ、実施校は広がっていますが、実施時間数でみると、多くの時間が使われているわけではありません。例えば多くの学校で「総合的な学習の時間」(以下、総合的な学習)を使って英語活動を行っていますが、6年生の場合、年間実施時間の平均は約11時間です。「総合的な学習」の年間標準授業時数は110時間ですから、約10分の1です。
「総合的な学習」以外の時間も含めた全体の実施割合からみても、年間11時間以下が約6割、12〜22時間が約2割です(図2)。内容的には、「歌やゲームなどに親しむ活動」が最も多く行われています。このほかにも簡単な英会話、発音練習や実体験を通じて英語や異文化にふれる活動などが行われています。
図表
──英語が単独の必修教科として小学校に導入されるかどうか、先生方は非常に高い関心を持っておられますが…。
山脇 その点については、04年4月から、中央教育審議会教育課程部会の外国語専門部会で検討が始まっています。初等中等教育全体を通しての外国語教育のあり方という観点で、6月末段階ですでに5回ほど検討会が開かれていて、今年度末までには基本的な方向性がまとまると思います。
 外国語専門部会では、小学校に英語を導入すべきかどうか、仮に導入する場合にはどのような条件整備をすべきか、指導体制や指導方法、中学・高校との連携のあり方など、議論が行われています。外国語専門部会としての基本的な方向性がまとまったら、教育課程全体についての検討をするという流れになってくると思います。いずれにしても現段階では、小学校で英語を必修として導入するかどうか、何も決まっていないのが実情です。


PAGE 1/2 次ページ
トップへもどる
目次へもどる
 このウェブページに掲載のイラスト・写真・音声・その他のコンテンツは無断転載を禁じます。
 
© Benesse Holdings, Inc. 2014 All rights reserved.

Benesse