ベネッセ教育総合研究所
山脇良雄氏にきく
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手引きやガイドブックをつくり、
研修を充実させて小学校の先生を支援していきます
──文部科学省としては、今後、小学校の英語活動に対して、どのような支援をしていくつもりですか?
山脇 紹介した調査では、英語活動の主な指導者についても聞いていますが、85%の学校で「学級担任」と答えています。小学校のコミュニケーション活動では担任の役割が大きいので、先生方に自信を持って指導していただけるように、小学校英会話活動推進のための手引きや、ガイドブックを作成することを予定しています。そして、何よりも指導方法の研修をどう充実させるかを検討中です。
 また、同調査でのALT(外国語指導助手)活用状況ですが、例えば6年生の場合、6割の時間に参加しています。行動計画では、3分の1くらいをネイティブスピーカーが参加した授業にすることを目指していましたが、すでにその2倍に近くなっています。担任が大きな役割を担い、ALTがそれを補助するという望ましいかたちが実現しています。しかし現在、小学校専属のALTは全国で100人未満であり、今後、実施時間数が拡大したときに同じ数値を保てるかが大きな課題です。また今後は、指導計画・指導方法の充実、教材の工夫、ALT・地域人材の活用などの面で小学校の英語活動を充実させていかなければならないでしょう。

──最後に、小学校現場へのメッセージをお願いします。
山脇 そもそもこの行動計画がどうして立案されたのか。国際化する社会のなかで、日本人が役割を果たしていくためには、国際共通語ともいえる英語の力を身につけることが重要なのに、現在の英語教育では、高校・大学まで卒業してもほとんど会話ができません。こうした英語教育への危機感から、この行動計画ができたのです。小学校の先生方にも、その危機感を共有してほしいのです。
 行動計画の目標は、国民全体が、中学・高校を卒業したら、英語でコミュニケーションができる、あるいは大学を卒業したら仕事で英語が使えるようにすることです。コミュニケーションというと、「英会話」と誤解されますが、「聞く」「話す」だけでなく、「読む」「書く」も含めた4つの技能を統合したコミュニケーション能力を育てようとするものです。実践的なコミュニケーション能力を育成するという意味は、自分の考えをしっかり持ち、それを英語で表現できるようになるところまでを目指しているわけです。
 また、自分の考えを持ち、それをどう表現するかを学ぶのは国語の学習です。道具としての英語の力を育てるとともに、すべての知的活動の基盤となる、国語の力も育て、伸ばしていってほしいのです。

──ありがとうございました。


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