ベネッセ教育総合研究所
特集 保護者の教育力を生かす学校づくり
鈴木良子
(株)ベネッセコーポレーション
進研ゼミ小学講座高学年保護者向け情報誌
『おや?BOOK』
編集長 鈴木良子
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通信教育「進研ゼミ小学講座」保護者担当に聞く――
「ともに子育て」の姿勢を示すようにしています
 全国に乳幼児から高校生までの383万人の会員をもつ通信教育「進研ゼミ」には、毎日多くの保護者からの声が寄せられる。多様な悩みに真摯に答えつつ、積極的に保護者の教育力をサポートすることが、大きな支持を得ている理由の一つ。「進研ゼミ小学講座」(高学年)の保護者向け情報誌編集長に、保護者とのコミュニケーションの姿勢を聞いた。


まず、悩みを受け止め、聞く姿勢を大切にしています
 進研ゼミには、保護者から毎月各学年200通ほどのハガキが寄せられます。そのうちの約20%が、学習関連はもちろん、例えば「夫の両親と教育方針が合わなくて子どもに当たってしまいます」など、夫婦間や嫁姑間での子育てギャップも含めたありとあらゆる悩みです。進研ゼミでは回答しにくいような相談も増えてきているのが最近の特徴ですが、そうした声に耳を傾けていると、とにかく「自分の話を聞いてほしい」という保護者が多い現状が透けて見えます。
 いまの保護者世代は、一般論として豊かなモノを与えられて育ち、就職期もバブル時代で恵まれていたといわれます。そんな時代背景が、ある種のプライドの高さや負けず嫌いにつながっているようです。本来なら知人・友人など身近な人に相談すればいいようなことも気軽に話すことができずに、間接的な関係にある私たちを頼ってしまうのかもしれません。
 そうした悩みに、「それはお母さんがよくないと思います」などと初めから否定をすると、逆効果になります。私たちが制作している保護者向け情報誌『おや?BOOK』でも、いったん悩みを受け止め、まず聞く姿勢を大切にしています(図1)。
図表
▲図1『おや?BOOK』の連載「お悩み解決隊」の誌面から。
保護者からは、「みんな同じようなことで悩んでいるんだと
わかって安心した」などの共感の声が寄せられている
 つまり、誌面では、まず保護者の方に共通する悩みを取り上げ、理解を示したうえでアドバイスをするようにしています。
 編集部に寄せられる感想からは、そうすることで初めて心を開く保護者が多いことがわかります。
親子の体験につながる提案はなるべく具体的に
 進研ゼミは家庭学習の教材ですが、私たちは、小学生時代は机に向かって勉強をするばかりでなく、いろいろな体験をすることが大切だと考えています。学校でいえば「総合的な学習の時間」に近いのですが、家庭では保護者が子どもと一緒に何かをすることが大切になります。親子のコミュニケーションを支援するための『おや?BOOK』では、家庭でのコミュニケーションの場面が思い描けるよう、具体的な提案をしています。
 例えば、社会問題やニュースを題材に親子で一緒に考えるとき、「これは○○が悪い」ではなく、「これってどう思う?」と問いかけてみることが大切です。そうして子どもから出てきた疑問や意見を家族みんなで議論していく。こうした家族の「コミュニケーション力」が、これからの時代で求められる学力を高めると考えています。
 保護者からは、「さっそく実践してみます」「子どもの新しい一面を発見できました」といった反響をいただいています。
 親子で取り組んでもらうための「かんがえる問題」(図2)は、そんな具体的な提案の一つで、人気コーナーにもなっています。
図表
▲図2『おや?BOOK』の連載「かんがえる問題」の誌面から。
子どもの力でも解けるが、大人でもちょっとてこずる問題を厳選。
「家族中で取り組んでいます」「子どもと一緒に頭を使って楽しかった」
などの声につながっている
 保護者の悩みに対する回答にしても、子どもの学力を育てるための提案にしても、現在の保護者の姿をしっかりと意識しながら、家庭教育のあり方を問い続けていきたいと思います。(談)


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