ベネッセ教育総合研究所
オピニオン 「教育の指導力」「家庭の教育力」「学校の経営力」が子どもの学力を豊かに伸ばす
岩津泰彦
東京都北区立赤羽小学校校長
岩津泰彦


いわつやすひこ●1946年生まれ。教職歴35年。専門は体育、社会。北区立桜田小学校、北区立西ヶ原小学校を経て2002年度より現職。
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外部評価を取り入れ、学校を公開。
保護者の評価を学力向上に生かす

学校評価をもとに「わかりやすい」授業を目指す
 本校は今年で129年目を迎える学校です。地域で2代、3代、4代と長年にわたって本校に通ってきている家庭が多い学校なので、地域との連携は比較的取れているのではないかと思います。
 外部評価を始めた2002年度には、保護者から「基礎学力は学校外でつけています」とか「イベントが多すぎるが、それは単なる形だけで教師の自己満足ではないか」というような、かなり厳しい意見が出ていました。私たちには教師なりの思いも当然あるわけですが、「そこまで保護者が書いてくる背景には何があるのだろうか」ということを考えました。また、授業評価の項目では、教員の全員が、「わかりやすい授業をやっている」と思っていましたが、子どもがわかりやすいと感じているのは76%で、残りの24%は否定的な評価だったのです。そこで、教員と保護者、児童の間にある評価のズレを認識したうえで、研究課題として「わかりやすい授業の創造」を掲げ、指導の工夫に積極的に取り組んできました。
 04年度の学校評価では、保護者の学校に対する満足度が90%を超える結果となりました。ちょうど03年度から加配の教員が一人来ることになり、少人数学習の研究を充実させることができたということもありますし、それについて保護者への説明を積み重ねてきた結果だと思います。ただ、今度は児童や保護者の評価が高くなったのに対し、教員の自己評価が低くなっていました。自分自身に対する評価が厳しくなったことも考えられますが、今後は、もっと校内研修を充実させて、教員の自信も向上させたいと思っています。
 
学校のビジョンを保護者にわかりやすく説明
 本校では保護者に対して、年度当初に全体保護者会として「学校教育説明会」を開いています。以前は私が10分程度話をし、その後、各学級に分かれるという方法をとっていましたが、それとは別に、しっかりと学校のビジョンを説明する場を設けたのです。説明会では、私から学校経営計画と指導のポイントについて説明し、各担当の先生からそれぞれの教科などで何を伸ばしていくかの説明をします。学校要覧の中でも、学校が目指す子ども像を明確にしました。また、基本的な生活習慣や学習習慣を確立することが学力に関係があるのだということもしっかりとお話し、「必ず宿題は出しますから、家庭学習の習慣をつけてください」などと保護者にお願いをしています。ただ、保護者向けにわかりやすく話すことは非常に難しいと感じます。たとえば、「教育課程」という言葉をどこまで理解してくれるのかということがあるので、専門用語をできるだけ使わず、平易な言葉を使い、わかりやすい資料を作ることが今後の課題だと思います。


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