ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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学力調査を生かした実践事例
テーマ 1 荒川区の学力向上の取り組み
学校と教育委員会が一体となって
子どもの学力を保証する。
東京都・荒川区教育委員会


学力調査を子どもたちの「カルテ」として活用する
 荒川区では、基礎学力の向上を図るため、一人ひとりの学力の定着状況、意識状況を検証する手段として、区内全ての小・中学生を対象に毎年調査(注1)を実施し、その結果を子どもたち一人ひとりの「カルテ」として活用している。

(注1)荒川区「学力向上のための調査」。平成15年度は、2月17、18日に実施
※年度表記は原則として西暦表記としているが、本稿は荒川区の要望により和暦表記にしている

その点で、特定の学年を一部抽出して定点調査を行い、学力の状況を傾向として把握しようとする従来の学力調査とは、目的が異なるのだ。
 調査は、教科学力を把握するための「学習到達度調査」と、児童・生徒の学習に対する意欲や取り組み状況を把握するための「学習意識調査」の2つで構成されている。(図1)
図1
■図1 「学力向上のための調査」実施教科・学年
 学力調査実施の目的は次の3点だ。

(1)子ども自身が課題を認識
 児童・生徒の一人ひとりが、学習の到達度及び学習に対する意識を客観的に認識することにより、自らの取り組むべき課題を明確にして、学力の向上につなげること。

(2)教師の指導改善
 教師の指導方法の改善など指導力の向上、各学校の教育計画の改善などを実現し、学校教育の充実を図ること。

(3)区の教育課題の明確化
 荒川区の学校教育の成果と課題を明らかにすることにより、学校教育への信頼を高めること。

 
「達成率」を評価の基準に
 荒川区の学力調査は、新しい評価法を導入した点でも特徴がある。
 これは、従来のように全体の中での順位や、平均点との比較などの相対的評価ではなく、絶対評価の視点に立ったものである。各教科、学年ごとに、基礎学力が定着していると判断できる正解の目標値を設定し、それを達成できたか否かを基準としている。区全体、学校、クラスごとに、目標を達成した子どもの割合(達成率)を評価の基準にし、学力向上の成果を客観的に把握しようとしているのだ。


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