ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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全教科で分かる授業を目指す「ドリームプラン」
 モジュール授業、習熟度別授業と、生徒の個性に応じた学力向上の取り組みに励んできた片柳中学校だが、斎藤先生は「02年度1年間取り組んできたが、どうも何かが足りない」と感じていた。学力をアップさせるためには、やはり生徒のトータルの学力を上げることに、もっと力を注ぐことも大切なのではないかと考えた。そこで、これまで「学力向上プラン」として各教科がそれぞれ独自に取り組んできた、授業における指導方法の工夫をより重点化するため、「通常授業の改善」を全校的に取り上げて、全教科で実践を図ることにした。ネーミングも「ドリームプラン」と改称した。
 片柳中学校目標は「夢をはぐくむ学校」。それを実現させるためには、まずは授業改善であると考え、全教科で同じ方針のもとで授業を充実させるための基本的な手立てを考え、それを03年度春に「ドリームプラン」として策定したのだ。

図1
■図1 片柳中の研究全体構想図
 
(1)プリントを利用して授業展開
数学のドリームプラン(図2)を具体的に見てみよう。
図2
■図2 数学科のドリームプラン
数学科では5つのドリームプランがある。ステップアッププランは、苦手な生徒にやる気を出させるための具体的な手立て。これも授業で実践されている
1つ目の「プリントを利用して授業を進める」については、全学年、全授業で学校オリジナルのプリントを活用した学習が行われている。1年生のモジュール授業では、25分間で1枚のプリントを使う。まず、はじめの7分で先生から学習のめあての説明を行う。そしてプリントを使った演習に入る。プリントの問題は教科書をもとに作成され、終わった生徒から補充問題に取りかかる。授業の残り10分が答え合わせの時間だ。「答えたい人?」と手を挙げさせ、6問あれば6人の生徒が答えを板書する。全部解いていなくても挙手は認められるので、「1番しかやっていないから、1番の答えを書きたい」という生徒の手も挙がるという。また、解法の異なる生徒の答えも色を変えて板書させるなどして「考えさせる」工夫を授業の中に盛りこんでいる。
(2)効果測定を授業の中で行う
 ドリームプランの2つ目は「効果測定を授業の中で定期的に行う」ことだ。効果測定とは、5点満点の小テストを活用したもの。解答時間は2分間だ。授業の始まる前に実施するこの小テストは、単元ごとに8回行われる。各単元のポイントが盛り込まれているが、実は1〜4回目の内容と5〜8回目の内容はほぼ同じで、生徒の理解がどれだけ定着しているのかが分かる仕掛けになっている。生徒も点数が上がると「できるようになったよ」と喜びの声を上げるが、授業中も含めて生徒は気づかぬうちに3〜4回同じ問題を解いているのだ。
 「わかる、できるようになると、自信がついてきて、自分でやり始めるんですね。そしてそれがしっかり学力の伸びにも表われてくるんです」(斎藤先生)


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