ベネッセ教育総合研究所
Case Study 学力調査を生かした実践事例
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「学習のきまり」で教師の指導の目線あわせ
 高いスコアの出た「教科学力」について、平野小学校では、教える側の目線合わせを徹底して行っている。この成果を踏まえ、平野小学校では教科指導における目線合わせを一層充実させるとともに、この手法を、今後特に力を入れたい生活指導にまで広げることにした。
 平野小学校では、毎年、目指す学習のあり方を項目別に具現化した「学習のきまり」を作成している。(図3)
図3
■図3
平野小学校が目指す授業の理念として、学習のあり方を項目別に具現化した「学習のきまり」。これによって教師の指導の視点が統一される

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 「学習のきまり」では、まず、低学年・中学年・高学年それぞれの学習目標が設定される。たとえば、低学年では「しっかり聞く、話す」、中学年になると「自分の考えと比べながら、決まりにのっとって話し合う」などである。これに対し、「話をしている人のほうを向いて聞く」「話は最後まで聞く。友だちが話す途中に口を挟まない」など、児童に指導すべき基本項目が細かく書かれている。また、指導者の役割として、児童の意見の聞き方、ノート指導の進め方なども細かく明記されている。
 「先生一人ひとりがこの『学習のきまり』を指針にして学習指導をしています。教師間、クラス間で濃淡のない指導が行き届くようにしていますので、児童の教科学力にもバラツキがなく、学力調査の結果も高かったのだと思います」(外山善正副校長)
 教師同士が指導のノウハウを共有し、指導の質の統一を図ることで、学校全体としての指導のバラツキを無くしているのだ。さらに教師全員で「学習のきまり」を改善していくことにより、学校全体の指導の質の改善にもつなげている。
 平野小学校では、現在「学習のきまり」を発展させた「平野の知恵袋」を05年2月に向けて作成中だ。校内のグループウェアを活用して、各教科の先生方の質問を受けながら編纂されている。例えば、「黒板の書き方」のガイドライン。子どもたちの討論を板書にまとめ、話し合いを高めていくためには、単に順番にまとめていけばいいのではなく、子どもの意見を比較したり関連づけたりして、内容を構造的に整理するなど、それなりにスキルがいる。このように、「学習のきまり」よりもさらに踏み込んだ指導法にまで具体的に触れられているのが特徴だ。生活指導上の課題も意識して、「教科版」と合わせて「生活指導版」も作ることにしている。


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