ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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学力調査をもとに施策を明確化
 そうした状況に危機感を抱いた篠山市教育委員会では、まずは、すべての施策の基本となる教育モデルを打ち出した(図2)。子どもが身につけるべき力は、円筒形の上面に表された「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の三要素。そのための土台となるのが、「体験」「基本的生活能力」「基礎・基本」「生きる力」だ。このうち、「体験」は“地域”、「基本的生活能力」は“家庭”と協力しての習得を目指す。
▼図2
図2
  篠山市教育委員会では、このモデルを市の広報誌などにたびたび掲載し、さらにわかりやすい言葉で解説することで、家庭や地域でも問題意識を共有化することに努めた。
  「これまでの学校教育は、こうした土台を家庭や地域で身につけていることが前提でした。教育環境が変化しても昔の姿に戻そうとするのではなく、家庭や地域の協力を得ながら、時代に合う新たな教育スタイルを模索していこうと考えています」(細見氏)
  また、保護者の意識を啓発するために、04年度、小学5年生と中学2年生を対象に、算数(数学)、国語の学力と家庭学習習慣について実態調査を行った。学習習慣では、平日および休日の学習時間、読書量、ゲームや外遊びの実態、地域活動への参加の有無などを調査した。
  「これまで、『家庭学習の時間が減っている』といったことは、教師の経験に基づいて語られてきました。もちろんそれも貴重な情報ですが、より多くの保護者に納得してもらうには客観的データで示すことも必要と考え、実態調査の実施に踏み切りました」(細見氏)
  初めての実施とあって、当初は、「子どもを数字で測るのか」「授業をつぶして実施する価値はあるのか」といった批判も予想していた。が、事前に教育委員会の名で理解を求める文書を配布していたこともあり、批判的な声は寄せられなかった。
  「例えば、小・中共に平日に比べて休日の学習時間が少なかったり、中2は学習時間が二極化しているなどの問題点が浮き彫りになりました。今後も継続して調査し、データの年次比較が可能になれば、より効果的な施策へとつながると思います」(細見氏)


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