ベネッセ教育総合研究所
地方自治体がひらく新しい教育
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4 消極的だった子どもが壇上で堂々と発表
 子どもたちにとって、活動の集大成となるのが、今田町内のさぎそうホールで開催される前述のフォーラムだ。05年度は1年生から6年生までが、今田町の自然や歴史について学んだことを保護者や地域住民の前で発表する。以前は、学校の体育館で学習の成果を発表していたが、そのときとは比べ物にならないほどの目的意識と達成感が得られるという。
  「今田小学校は小規模ですし、児童が外の世界と接する機会も多くありません。そのため消極的な子どもが多く、ややもすると、あいさつもきちんとできない子どもが増えてしまう傾向があります。その点、年に1回、地域に開かれた場所で発表する体験は、子どもの積極性を刺激するための貴重な機会となります」
  毎年、発表を終えた子どもたちが達成感のあまりに泣き出してしまうケースも非常に多いという。今田小学校の教育理念が、子どもの心にしっかり届いている証といえるだろう。
  こうした活動で得た達成感は、「これだけできたのだから他の教科でも」という自信となり、前向きな学習態度につながっているという。その一端を示すのが、自主的な学習量の増加だ。今田小学校では、児童に自主学習ノートを作らせ、漢字や計算問題、作文など、子どもたちが家庭で学習してきたものを提出させている。内容や量は子どもの自主性に任せているが、最初は1ページだけだったり、余白をたっぷりとってノートを使っていた子どもたちが、次第にぎっしりとノートを埋めてくるようになった。
  「地域教材を生かした学習が充実するにつれ、家庭学習を通し、教科を学習する量も増加する傾向が顕著に見られます。放っておくと1年間に2千ページを超える児童もいる程で、あまりにも家庭学習の量が増えたため、職員会議では子どもたちの睡眠時間を心配し、家庭学習の制限が議題に挙がったほどです。あるクラスでは『1日に3ページ以上しないこと』という制限を設けましたが、それでも年間千ページを超えた児童が25人中8人もいました」(酒井先生)
▼図2
図2
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